滝沢和典
進化する王道が行きついた
その境地は、”鵺の麻雀師”
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2023年12月19日
第2回戦
東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:二階堂瑠美(EX風林火山)
西家:東城りお(セガサミーフェニックス)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘俱楽部)
”エロい”
12月4日の第二試合、ドラの単騎から単騎に変化させてのリーチ、そしてツモ。
滝沢の和了りまでの一連の流れはそう評された。
リーチ率1位、副露率35位、和了率10位。
数字だけ見れば
「滝沢ブランドを活かした先制門前リーチ主体で相手を降ろし、和了率を稼ぐ形に変更した」
と簡単に結論付けられそうではある。
しかし滝沢の変化は本当にそれだけだろうか。
12月15日第二試合に見せた、イーペーコーを壊して和了り牌を吸収してのカンツモ。
ただのリーチ率一位であれば放銃に回っていそうな牌姿を、二軒リーチを躱す価値ある和了りに変化させた。
これがどうにも頭に引っかかる。
本日の試合を見て紐解いていけるといいのだが……
【東1局】
滝沢がいきなりかましてくる。
瑠美にのアンカンが入っての両面落とし。場に緊張が走る中、このドラ1、二枚切れカンでリーチに踏み切る!
河を見ると確かにが良さそう、実は二枚とも生きているかも…… と思えばリーチになりそうだが、滝沢はそうは考えていなかった。
滝沢「瑠美さんの落としは親のたろうさんの現物をわざわざ先に打っているのでの形の可能性も結構あるなと思っていました」
なるほど確かに。本来なら持っておきたい親の現物を先に打っての両面落としならば、→切りでの受け入れ枚数を重視した形が十分あり得る。実際に瑠美の手もそれに近しい形であった。
滝沢「が、残り一枚でも行ったれという気持ちでいきましたね」
瑠美がを一枚使っているパターンであっても残り一枚は必ず山にいる。
いくら滝沢ブランドがあるとはいえ、直近の滝沢のリーチの形を研究している相手やそもそも瑠美が既に本手の可能性を考えると押し返しを受けるのは明白。
ハイリスク・敗着に成り得る選択だが、東1局ということもあり、滝沢は賽を投げた。
これに化かされたのが東城。
瑠美とのリーチに挟まれて、残りツモ二回。
本人も大反省点として語ったこの打ち。手にドラがいっぱいあるとはいえ、既にツモアガリの可能性はかなり低く、押して得になるのは二巡有効牌を引いて切る牌が全部通ってからの滝沢からの出和了りのみ。
とはいえ二枚切れのカンで先制リーチに打って出られたこと自体が、東城にとってはまさに虚をつく出来事。
対戦相手を煙に巻いて、見事8000点の加点を決めた。
次局の【東2局】、カンの役アリドラ赤聴牌はダマテンを選択。ドラ表示牌の待ちもさることながら、変化も多い手牌でトップ目。これは王道のダマテンだろう。
しかしリーグ内リーチ率トップの人がダマテンも活用してくるのは、対局相手からすれば厄介この上ない。
このあたりの「人読みずらし」が最近のMリーグのトレンドか。
【東4局】、東城がこの形のドラバックのポンテン。”東城が”というのがポイントだろう。
親番で追う立場となっていた滝沢からを捉える!
これも以前の滝沢なら止めてもおかしくない牌。本人のスタイルチェンジもさることながら、東城の役牌ドラバックポンテンに踊らされる形となったか。
話が少しそれたが、新しい滝沢の麻雀はまだまだ続く。
【南1局】
一枚目のから積極的に動いて打。いわゆるちょっと遠めのホンイツまっしぐらの形だ。副露率35位の仕掛けとは到底思えない。