「早く…早く…」 全ての想いを背負った セレブ黒沢咲、 魂の1000点仕掛け【Mリーグ2023-24観戦記 1/22】担当記者 #徳岡明信

これで黒沢が回っている訳では無かった事がお分かりいただけただろう。
次巡持ってきた裏目の【6ソウ】も叩き切った。

この手はぶつけにいく本手なのだ。
ここを勝負所と見た黒沢が気迫返しの攻めを見せる。

(やばい…黒沢さんめっちゃきてるじゃん…)

【6ソウ】切りの瞬間、岡田の顔が一瞬明らかに曇った。

黒沢が一呼吸置く。
次の瞬間、熱のこもったリーチ発声が会場に静かに響く。

黒沢の頭には多くの人の顔が浮かんできただろう。
監督、チームメイト、そして数多の雷電ユニバース。

不甲斐ないチーム状況をひっくり返す為に。

黒沢渾身のリーチの結果は…

トップ目岡田からの直撃!
一番嬉しい結果となった。

ん? ツモると跳満の手なのに出アガリなら満貫で一番嬉しい結果なの?

と、思った方もいるかもしれない。

仮に黒沢が3000/6000をツモった時の得点状況を見てみよう。

黒沢 41400
亜樹 26000
岡田 30800
高宮 3800

このようにそこそこ縦長の展開になると、各自が着アップの条件を目指しにいく。
岡田もリーチ棒が出れば満貫ツモOKという状況で、
1人沈んだラス親の高宮からリーチ棒が出る事は容易に想像がつく。

必然的に決着巡目が遅くなりがちで親に猶予ができ、連荘率も上がってしまう。

しかし実際の南4局の点棒状況を見てみよう。

2着目の岡田と3着目の亜樹の点差は実に800点差だ。
1着順に20000点分の価値(20P)があるこのルールにおいて
この2人の早アガリ合戦になるケースが多分にあるのだ。

言い換えると、岡田と亜樹は無理にトップを狙わずにスピード重視の安手を目指す可能性が高くなる。

黒沢にとっては前者の点棒状況よりも後者の点棒状況の方がトップ率が高くなると言えよう。

高宮の連荘を挟んで迎えた南4局1本場

「ポンっ!」

「ポンっ!」

中々見ることの出来ない黒沢の1000点仕掛けがついに拝めた。
しかも2フーロしてまだイーシャンテン。
無論、安全牌は無い。

これが腹を括った黒沢の仕掛けだ。
今日のトップの為なら形振り構わない。
キャラもスタイルも今だけは捨ててやる。
全ての想いを背負ったセレブ黒沢咲の魂の1000点仕掛けだ。

覚悟の想いが痛いほど伝わってくる。

(早く、早く…
みんなが押してくる前に早く…)

(早く…)

(よかった…まりちゃんがリーチっていう前に【7ピン】がいてくれて…)

「ツモっ…」

疲労困憊の黒沢が静かに申告する300/500は400/700

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