背中で語った
キャプテンの覚悟。
文・小林正和【金曜担当ライター】2024年2月2日
第2試合
東家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:猿川真寿(BEAST Japanext)
西家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
北家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
総額1772億円超えというアメリカらしい大型補強をしたMLBドジャース。
二刀流・大谷翔平の移籍に加え、日本プロ野球界の絶対的エースである山本由伸選手に対しても、12年総額463億円という投手として異例のメジャー史上最高額の契約を結んだ。
「武器となる球種は?」
山本投手は160㎞/hに迫るストレートにキレのあるスライダー。右打者の胸元を抉る(えぐる)シュートや“手元で消える”と表現されるスプリットなど多彩な変化球を持ち合わせている。
「どの球も一級品ですが、特にカーブが有効になってくるかなと。」
そう語ったのは、元メジャーリーガーの川上憲伸氏。
ファストボールと呼ばれる速い球や、打者の近くで動く変化球はメジャーでは主流。その反面、ゆっくり曲がるカーブは向こうでは投げる投手が少ないのである。
つまり、スピード落差という“緩急”がポイントの事。
少し前置きが長くなったが、本日の第二試合目。
麻雀にも“緩急”は存在し、その言葉を彷彿とさせた選手がいた。
本人は
「初戦はボチボチでした。」
と少し謙遜気味に語ってはいたが、第一試合目で思惑通りのトップを獲得し、連投となった多井隆晴である。
東1局
いきなり訪れたチャンス手。
ドラクエで言えばメタルスライムが初っ端から現れると言った所か。
混老七対子に匹敵する、出現頻度と点数とのバランスに少し不満があるランキング上位の手役。
高め“ニ盃口”
待ちテンパイである。
直前に高めのが打たれた点や、三段目と終盤に差し掛かっているのもあり、ここはヤミテンに構えた多井。
それでもドラ2内蔵のお陰で、安め出アガリ5,200と打点的にも魅力のある13枚は捨てがたい。
しかし、本田の仕掛けや猿川のリーチと二者に挟まれると
何の惜しげもなくフリテンの単騎へと一歩引く形に。
東2局でも
タンヤオ・ドラ2
3,900と中打点のテンパイを入れた多井だったが、本田のリーチを受けると
オリきれる保証は無いにも関わらず、10枚の手牌に一人寂しく居座る唯一の現物を何の惜しげもなく“おさらば”。
それもそう。
アガリ牌は山に残っておらず、相手の最後のアガリ牌を手にした瞬間であった。
“安全牌が足りないから”
“通っていない筋は山ほど残ってる”
といった気休めは多井には通じない。
自身に勝機がないと悟ると潔く退いた。
そして、
東4局1本場の親番では
ここまでの慎重な姿勢とは打って変わって、周りにも使われやすい尖張牌(せんちゃんぱい)待ちという、なかなかの愚形待ちでリーチ。
目に見える圧を場に掛けていく。
この一連の攻めと守りのメリハリの効いた側面。
正に麻雀における“緩急”の一つと言えるだろう。