渡辺太 シンギュラリティの風は ドリブンズの逆境を打ち砕くか【Mリーグ2023-24ファイナル観戦記 5/9】担当記者 #後藤哲冶

ここも、なんとか制した。
勝又が【8ソウ】を掴んで、裏こそ乗らないものの3900の加点。
もう一度太が4万点を超えて、南場へと突入する。

役牌2つがトイツの好配牌が、太に入った。
まずはサクラナイツ堀の親番を終わらせるべく、太が仕掛ける。自風の【西】、場風の【南】と鳴いて、3900のイーシャンテンだ。

それを見て、ラス目になっている親番堀も動く。
瑞原が切った【6ピン】をチーして、タンヤオへ。
形こそ苦しいが、ここから仕掛けないとアガリがないと感じ取った。

【7マン】を引き入れてトイトイの含みを持たせていた太だったが、絶好の【赤5マン】引きでテンパイ。
これで8000点になった。これをアガリに繋げることさえできれば、持ち点は5万点を超え、かなりトップが近づく。

が、ここを制したのは後方から追い付いた堀だった。
1000オールと打点こそ低いものの、配牌を考えればアガれただけでも御の字ともいえる。
堀の持つアガリへの嗅覚が、連荘を果たした。
そうして繋いだ、1本場

この形からドラの【1ソウ】をポンして前に出る。役牌【東】バックがメインで、他の役牌が重なればホンイツまで見える進行。

そしてこの役牌東を、すぐさま暗刻にしてみせた。
絶好のツモ。このあと【4ソウ】を引いて、【3マン】【6マン】の12000テンパイにこぎつけると……。

これを、テンパイが入っていた勝又のリーチ宣言牌で討ち取った。
12000のアガリで一気に2着目に浮上。

堀にも、負けられない理由がある。
第1試合に出場した岡田がトップを持ち帰って、チームはトップのパイレーツに猛然と迫っている。
チームの良い流れを止めずに、できれば一気に抜き去りたい。

続く2本場、堀が更にリーチで攻め立てる。
【7ピン】【8ピン】待ちの方が1枚枚数が多いが、【5ソウ】【8ソウ】の方が【赤5ソウ】がある上、【7ピン】【8ピン】【8ピン】ツモがテンパネにならないが、【5ソウ】【8ソウ】にすればどちらもテンパネで点数が高くなる。
堀の照準が、トップ目の太に定まった。

しかしこのリーチがなかなか決まらない。
選べた待ちである【7ピン】【8ピン】の方だけが堀の手元に続々と来ている内に、瑞原がカン【6マン】をチーしてテンパイを入れていた。
しかし、この終盤でもってきた【4マン】は通っていない牌。
【5マン】が全部見えていて【4マン】【7マン】の可能性は無いが、【1マン】【4マン】の可能性は残っている。

それでも、瑞原はこの牌を強く押した。これでテンパイをキープすると。

なんとハイテイにいたのは堀も欲しかった【5ソウ】
これをツモって、瑞原が2着を再逆転。

そしてここで珍しいトラブル。
牌に汚れがついており、牌を交換する時間が設けられた。既に時刻は夜の23時を回っており、この半荘もロングゲーム。
選手の疲労は、想像を絶するものになっているだろう。

南2局

再びラス目になっていた勝又にとって、落とせない親番がやってきた。
……が、あまりに配牌が悪い。
字牌を集めて、国士無双ホンイツ系に向かいたくなるところだが、勝又は【西】を切っていった。

堀から先制リーチが入る。ドラ赤従えてのピンフリャンメンリーチ。
【2ピン】【5ピン】待ちは、打点待ち共に申し分ないリーチ。

そこに、勝又が猛然と押し返していく。
あれだけ悪かった配牌がなんと四暗刻のイーシャンテンになり、最終的にはドラ【4ソウ】を引いてのツモり三暗刻リーチにまで化けた。

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