全員がテンパイを取りに来ている感覚。
であればこそ、この1枚切れのはいて良いはず。
様々な副露がかみ合い、局の最終牌、ハイテイ牌が勝の所へ。
ハイテイは――
「!」
勝の、アルトボイスが響いた。
勝が心から欲したは、ハイテイに眠っていた……!
「残ってた……! 繋がった……! 終わってたまるか!」
そうだ、まだ終わってなんかいない。
目元を拭った勝が、もう一度前を向いた。
連荘――!
「嫌です」
勝が、を暗刻にしてのリーチのみテンパイを拒否。
打点も形も悪いリーチを打つより、より良い形を求めた。
緑仙に先制リーチを打たれるも、変化を待ったを重ねてテンパイに辿り着いた。
「お願いします!」
まだ希望は潰えさせない。
勝が勝負に出た。
「続けるぞ……! まだ続けるぞ……!」
これを緑仙から捉える。裏ドラ1枚を乗せて、3900のアガリ。
打点が低くたって良い。泥臭くたって良い。
今はアガリを重ねることだけを。
南1局2本場
ここまで良い配牌と呼べる配牌はなかなか入らなかった勝に、好配牌が入った。
くっつきのイーシャンテン。一番欲しいのは、タンヤオピンフイーペーコーまで見える、引き。
勝が息を吞んだ。
「お願いします!」
高目イーペーコー。これを跳満ツモに仕上げたら、一撃でトップ目に躍り出る。
「終わってたまるか……!」
軽快なリーチBGMの裏に、勝の小さな、しかし意志の籠った声が聞こえてくる。
神様どうか、お願いだから。
努力を続けてきた少年に、ほんの少しの幸運を……!
……それでも、麻雀はいつだって、憎たらしいほどに平等で。
勝の決死の粘りも虚しく。
3着で対局を終えることになるのだった。
トップには、緑仙。
仕掛けにもリーチにも躊躇いが無くなっており、納得のトップ。
1試合目の4着を見事にリーダーがリカバリー。
2着には渋谷ハル。
テンパイ取りに手組に隙が無い。朝陽に打っただけが悔いが残る2着となった。
4着には、朝陽にいな。内容は素晴らしかったが、牌がついてこなかった。
アトラスもなかなか苦しい節が続いている。優勝に向けて、次節は奮起したい所だ。
グラディウスは次節が抜け番。
これで、セミファイナル突破はかなり厳しい数字になってしまった。
けれど、昨年のこともある。麻雀は最後までどうなるかわからない。