【 #神域リーグ2024 第26試合観戦記】諦めてたまるか……!終わってたまるか――! #鈴木勝 が最後まで手を伸ばし続けた先【文 #後藤哲冶 】

全員がテンパイを取りに来ている感覚。
であればこそ、この1枚切れの【南】はいて良いはず。
様々な副露がかみ合い、局の最終牌、ハイテイ牌が勝の所へ。
ハイテイは――

【南】!」

勝の、アルトボイスが響いた。
勝が心から欲した【南】は、ハイテイに眠っていた……!

【南】残ってた……! 繋がった……! 終わってたまるか!」

そうだ、まだ終わってなんかいない。
目元を拭った勝が、もう一度前を向いた。
連荘――!

「嫌です」

勝が、【4ソウ】を暗刻にしてのリーチのみテンパイを拒否。
打点も形も悪いリーチを打つより、より良い形を求めた。

緑仙に先制リーチを打たれるも、変化を待った【4ピン】を重ねて【6マン】【9マン】テンパイに辿り着いた。

「お願いします!」

まだ希望は潰えさせない。
勝が勝負に出た。

「続けるぞ……! まだ続けるぞ……!」

これを緑仙から捉える。裏ドラ1枚を乗せて、3900のアガリ。
打点が低くたって良い。泥臭くたって良い。
今はアガリを重ねることだけを。

南1局2本場
ここまで良い配牌と呼べる配牌はなかなか入らなかった勝に、好配牌が入った。
くっつきのイーシャンテン。一番欲しいのは、タンヤオピンフイーペーコーまで見える、【6ピン】引き。

勝が息を吞んだ。

「お願いします!」

高目イーペーコー。これを跳満ツモに仕上げたら、一撃でトップ目に躍り出る。

「終わってたまるか……!」

軽快なリーチBGMの裏に、勝の小さな、しかし意志の籠った声が聞こえてくる。

神様どうか、お願いだから。
努力を続けてきた少年に、ほんの少しの幸運を……!

……それでも、麻雀はいつだって、憎たらしいほどに平等で。

勝の決死の粘りも虚しく。
3着で対局を終えることになるのだった。

トップには、緑仙。
仕掛けにもリーチにも躊躇いが無くなっており、納得のトップ。
1試合目の4着を見事にリーダーがリカバリー。

2着には渋谷ハル。
テンパイ取りに手組に隙が無い。朝陽に打った【6ソウ】だけが悔いが残る2着となった。

4着には、朝陽にいな。内容は素晴らしかったが、牌がついてこなかった。
アトラスもなかなか苦しい節が続いている。優勝に向けて、次節は奮起したい所だ。

グラディウスは次節が抜け番。
これで、セミファイナル突破はかなり厳しい数字になってしまった。
けれど、昨年のこともある。麻雀は最後までどうなるかわからない。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀 新刊情報/