最後は裏ドラ勝負!
麻雀の魅力を
1mmも疑わず信じる
最強戦の魅力とは
【決勝卓】担当記者:沖中祐也 2024年12月15日(日)
決勝卓
亡国の遊戯
みんなも薄々感づいていると思うけど、ちょっと異常じゃない?
何がって麻雀の面白さよ。
将棋、ナポレオン、バックギャモン、ソシャゲ、人狼…最近でいうとポーカーかな。
俺も50年近く生きているからさ、ありとあらゆるゲームや趣味をやったわけよ。
どのゲームもそれなりに面白くてハマったんだけど、麻雀だけが飛び抜けて面白いんだよね。
特に覚えてから数年の配牌を開くたびにワクワクする感じ?
ご飯を食べるのもそっちのけで麻雀。寝ても覚めても麻雀。
挙句の果てに夢の中にも麻雀が出てきたりさ。
そしてどうやら麻雀に取り憑かれたのは私だけではないらしい。
黒沢咲さんの自叙伝・渚のリーチ!は「秒速で恋に落ちた」って言葉で始まるからね。
もちろん恋の相手は同級生ではなく、麻雀なのよ。笑っちゃう。
実際に徹夜したり留年したりみたいな話ってよく聞くよね。
一説によると麻雀は「亡国の遊戯」とも言われ、国を滅ぼすほどの中毒性があるんだって。
そんなゲームって他にある?
ドラクエが社会現象と言われていた時代もやりすぎて留年しましたって人はあんまりいないだろうし、ウマ娘やりすぎて二徹した!とかも聞かない。
おかしいのは麻雀だけ。オンリーワン。
あらゆる欲望を凌駕する何かが麻雀にはあるんだけど、その魅力はなにかって聞かれるとよくわかんないんだよな。
「運と実力の絶妙なバランス」とかなんとか誰かが知った顔で言うけどさ、そんなの他のゲームだってそうじゃん。
麻雀の魅力ってなんなのだろう。
俺は、最強戦にその答えがあると思っているんだよね。
麻雀界の有馬記念
誰が勝つのか楽しみな気持ちと、終わってしまう寂しさと。
年末の風物詩として定着した最強戦が今年も始まった。
東家・桑田憲汰 現最強位
南家・小宮悠 女流新スター決戦・優勝
西家・近藤誠一 男の花道・優勝
北家・佐々木寿人 伝説を継ぐ者・優勝
まず先制したのが小宮だった。
小宮悠(こみやはるか)を一言で表すなら「聡明」がふさわしい。
感性や気持ちで打つ女流プロが多い中、彼女は理論立てて考え、そして冷静に打つ。
今年の3月にいち早く「女流新スター決戦」を勝ち上がった後も勉強を重ね、前日も寝付けなくてネット麻雀で勉強会セットを組んだという。
「ポン」
その小宮の声で最強戦決勝卓という物語は始まった。
遠目の仕掛けだが、前巡にドラを重ねたばかり。
を切ってタンヤオと役牌、うまくいけばトイトイや三色同刻まで見える。
すぐに声が出ているあたり、卓に乗れているか。
小宮がテンパイしたところで、親の桑田からリーチがかかる。
数巡後
小宮のアガリ牌であるが打たれるも、がフリテンでアガれない!
そう、私の小宮のイメージは冷静沈着だ。
だがこのときは
ぐっとツモる手に力が入っている。
五臓六腑にしみわたる1000/2000。
ほっと胸をなでおろしまくっているのが伝わってくる。
私はこんな小宮を見たことがない。
勝ちたい気持ちはみんな同じなのを知った上で、胸に迫するものがあるのだろう。