目指すのは目先のアガリよりも最良の結果
文・東川亮【木曜代打ライター】2025年2月6日

大和証券Mリーグ2024-25、第1試合の組み合わせは、Mリーグ発足から所属する4選手の戦い。もちろん各選手がそれぞれにキャリアを積み、麻雀も成長・変化しているが、その過程も彼らはお互いに知っているし、本質の部分もかなり理解はしているだろう。
初見の対戦にはワクワク感があるが、勝手知ったる4者の戦いというのも、また違った趣がある。

第1試合
西家:小林剛(U-NEXT Pirates)

この試合は、チートイツドラドラのアガリが3回もあった。
1回目は東3局、勝又がテンパイ。まずは親の現物である単騎待ちに受ける。

を引いて待ち変え。自身の目からマンズの上目がほどよく見えていて、待ちとしては
よりよさそう。

ペン受けを払っていった白鳥から捉え、6400。トップ目から加点をしていく。

迎えた東4局、衝撃が走る。
白鳥の手が配牌でチートイツの1シャンテン、第1ツモでを重ねてテンパイし
待ちのダブルリーチをかけた。
重ねて
待ち、これぞまさしく「白鳥リーチ」。

親番の園田の顔が思わずゆがむ。親でダブリーを受けるのは本当に嫌。

は小林と園田の手に1枚ずつあった。どちらも一発で打っておかしくなさそうだったが、小林は回避。

小林は引きで赤含みのマンズターツができたが、現物につきツモ切り。ちょっと粘りたくなる引きだが、ここでアガリへの色気を見せないのが小林らしい。

園田も形が整ってきたが、こちらは親でちょっとアガれそう。を抜いても防戦一方ならばと前に出るが、そうすると一番いらないのが
になる。

ダブリーチートイツドラドラで12000。

園田は久々の「なんなん」案件。

河でも、バッチリ主張済みです。

3回目が出たのは南3局だが、この局はむしろ、小林の選択が面白かった。
局の立ち上がり、園田が高速ポン。
手牌はマンズ多めでトイツ、ダブ
ホンイツの満貫に仕上げようかという算段である。

を暗刻にしてピンズ払い完了。
ピンズと手出しで並ぶ河には、一見すると威圧感がある。

だが、仕掛けの主は園田である。7年目を迎えたMリーグの歴史において、多種多様な仕掛けで対戦相手を翻弄してきた打ち手であり、そのことは同卓している3人も重々承知。ホンイツ狙いと言え、まだ遠いことも十分ありそうということで、字牌やマンズを先に切っていく。
Mリーグファンにはおなじみの比較だが、たとえば仕掛けの主が同じMリーグ創設メンバーでもTEAM雷電・黒沢だったら、こうはいかなかったはずだ。

ただ、そうも言っていられないのが小林。園田の上家で、ポンだけでなくチーもされてしまうポジション。自身の手はまだメンツ一つというところで、どう見ても使えなさそうな9mをツモ切らなかった。ホンイツはもちろん、チャンタやジュンチャン、果ては役満・清老頭など、高打点には絡みそうな牌である。

実際、は園田にとって欲しいところ。おそらく切ればチーだったはず。

しかし、そのチーはしたとしても不成立だった。勝又がすでに
待ちのチートイツテンパイを入れていたからだ。4巡目であまりにも早いが、小林の徹底した園田ケアが結果的には放銃回避につながっていた。

小林は徹頭徹尾マンズを抱え込む。自身の手はメンツ1つで打点もなく、真っすぐアガリに向かっても園田のほうが早く高くアガりそうだということで、徹底的にラス目の園田を封じる作戦を採った。ただ、それは南場の親番を捨てる決断でもある。なかなかできることではない。

勝又は最終的な待ちをに取り、三色1シャンテンだった白鳥からダマテンで仕留める。これで勝又はトップをかなり安泰なものとした。

オーラスは勝又が早々にアガリトップのテンパイを入れるもアガれないまま巡目が進み、園田のノーテン気配を察知して終盤に手を崩す。ドラポンで赤赤、ハネ満が見える手だった小林もテンパイできずに最終手番を迎えた。