照れた白鳥翔、微笑んだ内川幸太郎【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 9/16 第2試合】担当記者 カイエ

南3局

観よ、この衝撃画像を。
先ほどの岡田の三色を彷彿とさせる、伊達朱里紗の美しい高目跳満
…否、そこじゃない。
そこじゃないことはなく、それも充分に戦慄的なのだが、ここでは待ち牌表示に注目してほしい。
なんと3者が3者とも【3ソウ】【6ソウ】待ちという、なかなかお目にかかれない珍画像が出現してしまったのだ。これぞオナテンの極致。


結果は流局して、伊達と白鳥が1500点ずつの加点。
そして、誰しもにトップの目がある、大接戦で迎えたオーラス。

南4局

ラス親でラス目の岡田が先制リーチ。
昨シーズン、苦境の連続に陥りつつも、麻雀の内容としてはそれほど反省点はなかったと語る岡田が、自身の開幕トップを目指す。この半荘も非常によく打てていた。

時間はかかったが、何とかこれをツモり、リーチ・ツモ・ピンフ・赤に、嬉しい嬉しい裏が1枚乗っての4000オール!
一気にトップ目へと駆け上がった。上家に座るドラ1の先輩に、ドラ2の気概を見せつけていく。これからのサクラナイツは、わたしが引っ張っていきます。

南4局1本場

そして、勝負が決する本局のハイライト(n回目)。

まずは白鳥がドラの【白】を暗刻にする。トップ条件はとうに満たしており、あとは仕掛けを駆使してアガるのみだ。

同巡、内川も負けてはいない。トップ条件は跳満ツモと厳しいが、改装されたMリーグスタジオに、またしてもツモり四暗刻の匂いが漂ってくる。
そして局面は中盤に差し掛かる。


白鳥の手牌。
ドラの【白】を暗刻にしてから鳴くことはできなかったものの、自力でテンパイにまで辿り着いた。むろん【5マン】を切れば再逆転でのトップ。しかし、この【5マン】。おいそれとは切れない牌なのだ。全体牌図で確認してみよう。

ポイントは白鳥の下家、内川の動向。
先ほどのツモり四暗刻リャンシャンテンの手から仕掛けて、2副露。ドラの【白】はすべて自身が使い切っており、索子のホンイツでも無さそうだ。内川の打点は?
というか、内川の狙いは?
すでに確認したように、内川はトップまで跳満ツモが必要。ドラの見え方から、跳満は有り得ない。単なるトイトイが濃厚だ。なにせ、【7ソウ】【8ソウ】【8ソウ】【9ソウ】のメンツから【8ソウ】をポンしているのが明確な捨て牌なのだ。まずトイトイで間違いない。すると、内川にとってのラス抜け条件である5200点というラインが浮上する。だが、トイトイのみではカンが入らない限り2600点までしかない。伊達からの直撃なら変わるが、ここで問題なのは、内川の手が5200点を満たしていた場合、白鳥がこれに飛び込めば、一気にラスにまで転落するということだ。
では5200点を満たすトイトイとは?
もう赤牌がらみしかない。
そして、白鳥は自身の手に【赤5ピン】を格納しており、残るは【赤5ソウ】【赤5マン】か。
そして、いま切り出したい牌は【5マン】。危険だ。

結果として、白鳥はこの【5マン】を勝負した。
局後の検討配信において冥府ちゃん(白鳥)は、すべて分かったうえで勝負した、と述べている。その読みの深さには恐れ入る。熱心な読者はぜひ視聴いただきたい。また、シャンポンの【6ソウ】の場況が良さそうだったことも勝負の一因だったようだ。
それにしても、打てば2着順ダウンの牌を覚悟を持って勝負できた胆力に、鳳凰位の強さと充実ぶりをみた。

その後、シャンポン待ちを好形のリャンメン【6ピン】【9ピン】待ちに振り替えると、

その直後に内川から【9ピン】が切られるという「麻雀らしさ」をもって、
かくて勝敗は決した。

白鳥、満貫のアガリで見事なトップ奪取。
局後に「緊張した」と語った白鳥は、内川と岡田との同卓に違和感があったとも述懐した。
帰ってきた内川の姿に、エモさも感じていたようだ。
勝利のチームポーズでタイミングを誤り、照れてしまったのはご愛嬌。

岡田は、オーラス4着から貴重な2着を持ち帰り「ホッとした!」と呟いていた。チームを首位に導き、二度と同じ轍は踏まない。

3着の伊達は、やはりラスにはならなかった。全体的に苦しい局も多かったが、意地は見せた。ただ、少し守備的に過ぎるかと思わせる手組もあり、消極的にも映った。だがもちろん、今期も活躍してくれるだろう。新設タイトルを加えた四冠目にも期待したい。

内川は、残念なラスに沈んだ。
しかし「幸せです」と語り、次は結果も出したいと誓った。麻雀を、Mリーグを楽しんでいる様子は、視聴者にも伝わっただろう。

まだまだシーズンは始まったばかり。今期はレギュラーシーズンだけで、各チーム120試合もの長丁場を闘う。
ここまでの4試合はどれも劇的で、新たに始動したMリーグの、熱狂と成功を予感させてくれる対局が続いている。
8年目のMリーグは、変革の年になる。
その行く末を一緒に見守っていければと思う。
カイエ先生の次回作にも、どうぞご期待ください。

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