風は吹かずとも─ 浅井裕介、活路を切り開かんとする粘り【麻雀最強戦2026 風合戦】観戦記【B卓】文:香川さにい

風は吹かずとも─

浅井裕介、

活路を切り開かんとする粘り

【B卓】担当記者:香川さにい 2026年8月16日(日)

 

【B卓】
東家:中田花奈
南家:鈴木大介
西家:浅井裕介
北家:猿川真寿

麻雀風合戦2026 風合戦。

B卓の勝利予想では、Mリーグ BEAST Xに所属する中田花奈と鈴木大介が1位、2位に支持を集めた。一方、元BEAST Xの猿川真寿が4位予想。3位には浅井が挙げられた。中田、鈴木が優勢と見られる中、この予想を覆す者が現れるのか。4者の意地がぶつかる戦いは、果たしてどのような結果となるのか。

・覚悟の一打、猿川がラス牌を引き寄せる

東1局、開幕早々にタンピン系の好配牌を手にした猿川。その後も順調にツモを重ね、456の三色まで見える勝負手に育っていく。5巡目に【6ピン】を引き入れてピンズがさらに伸びると、ドラの【1ピン】をあっさりと切り出していく。大物手への期待とともに、場には一気に緊張感が走る。

しかし、大介も負けてはいない。ドラを使い切れる嬉しいツモ【3ピン】で、二度受けながらもピンフ・ドラ1の1向聴に。両者ともにスピード感は十分。先に和了を決めて風を引き寄せるのはどちらになるか。

先手を取ったのは大介だった。8巡目に【北】を暗刻にして聴牌。ここで待ち選択を迫られる。【3マン】を切れば【4マン】【7マン】待ち、【6マン】を切れば【1マン】【4マン】待ちとなるが、見た目の残り枚数はいずれも同じだ。是が非でも和了をものにしたいこの局面で、鈴木が選んだのは、高目一盃口が狙える【6マン】切りリーチ。この選択が吉と出るか。

臨戦体制の猿川にも選択の場面が訪れる。リーチの現物であるが合わせられ、自分から4枚見えとなったことで、【3マン】【6マン】の受けが厳しくなる展開に。ワンチャンスの【3ピン】を切って受け入れを広げ、やり直すこともできるが、猿川が選んだのは、なんと中筋の【5ソウ】切り。【3マン】を引き入れることに賭け、あくまでこの手で勝負するという覚悟の表れか。

そして【5ピン】を引き入れ聴牌。ここで猿川が少考する。【3マン】しか残っていない薄い待ちだけに、リーチにはためらいも生じるところだが、力強くリーチに踏み切る。この勝負を制し、和了をものにするのは一体どちらか。

軍配は猿川に上がった。ラス牌の【3マン】を見事にツモり、1300、2600の和了を決める。勝利予想では最下位に挙げられていた猿川だが、下馬評を覆し、決勝卓へ勝ち進むことができるか。

・追い風に乗る猿川、止まらぬ連続和了

劇的な和了を決めた猿川、次局もその勢いは止まらない。6巡目に【2マン】を引き入れ、くっつきの1向聴となる。驚くべきは、そのツモの内容だ。前巡には【8マン】、さらに前々巡には【7ピン】を引き入れており、なんと3巡連続で愚形ターツが埋まるという引きの強さ。まるで前局の和了をきっかけに、さらに風を引き寄せているかのようだ。

次巡、あっさりと【8ソウ】をくっつけ、【6ソウ】【9ソウ】待ちで先制リーチ。ドラの【9ソウ】で和了すれば、789の三色までつく勝負手に仕上がった。愚形だらけだった配牌からは想像もつかない変貌ぶりだ。勢いそのままに一気に和了をものにできるか。

11巡目、1向聴の中田から【6ソウ】が打ち出されると猿川がこれを捉えて和了。裏ドラは乗らず、2000の放銃となった。中田にとっては、安目での放銃となったことがせめてもの救いか。それにしても、まるで追い風を一身に受けているかのような猿川の連続和了に、つくづく流れというものを感じさせられる一局となった。

・浅井裕介、後に希望をつなぐ一発放銃回避

2局連続で先制リーチ者の1人聴牌による流局となった後に迎えた東4局2本場。供託が2本あり、誰もが和了をものにしたいこの場面で、なんと大介が第1ツモで聴牌。ここでのダブルリーチはかなり強力だ。【南】と【發】の待ち選択となるが、オタ風である分、わずかに出アガリ率の高い【南】単騎を選択。絶好のチャンスを得た大介、この局をものにできるか。

苦しいのは浅井。ベタ降りするにしても、【南】が打ち出されるのは避けられない。一発で放銃する可能性もある中、浅井が第1打に選択したのは【中】。単騎待ちの場合の危険度を考慮した上での選択か。結果的に、この判断が功を奏することになる。

次巡、浅井から【南】が切り出され、大介が和了を決める。裏ドラは乗らず、5200の放銃となった。浅井にとっては悔しい結果となったが、もし一発で放銃していれば満貫となっていただけに、少しでも被害を抑えた格好だ。この2800の差が後々の着順を分けることもあるだけに、苦しい状況でも最善を尽くした浅井の粘りが光った場面でもあった。

・最後まで諦めない浅井、惜しくもあと一歩届かず

南場に入ってからも満貫以上の大きな和了は生まれず、南入時の着順と変わらずに迎えたオーラス。2着以上が濃厚となった猿川は配牌降りの選択。この局がおそらく最終局となるであろうことは、対局者の全員が感じていたはずだ。それぞれの条件を整理すると、3着目・中田は500、1000ツモもしくは2600出アガリ、4着目・浅井は1000、2000ツモもしくは5200出アガリである。いずれも十分に現実的な条件だけに、2着目の大介も黙って見ているわけにはいかない。果たして、決勝卓への切符を手にするのは誰になるのか。

6巡目、浅井がドラの【8ピン】を引き入れ、条件を満たす1向聴に。ここから一気通貫か345の三色か、手役の選択を迫られる。【4ソウ】が場に2枚見えていることから、浅井は【5ソウ】切りを選択。このまま聴牌にたどり着くことはできるのか。

じれったいツモが続いていた浅井だったが、12巡目に痛恨の【4ソウ】ツモ。聴牌を逃した格好だが、2枚切れの状況では仕方がないか。しかし、浅井にとって苦しい展開はなおも続いた。

一気通貫に必要な【2ピン】の3枚目が上家・大介から放たれてしまったのだ。ここからターツを作り直す猶予もないため、やむを得ずこれをチー。中田からリーチ棒が出て鈴木から直撃を取る可能性や海底での【4ピン】ツモなど、わずかな可能性に賭けての決断であった。

しかし、その願いが実ることはなく、オーラスは浅井の1人聴牌で流局。聴牌料で着順を上昇させるも3着まで。【南】の一発放銃を避けたことでつないだ2800の差が、オーラスの逆転条件を残しただけに、最後まで勝利を諦めずに戦い抜いた浅井にとっては悔しい結果となった。

【試合結果】
1位:猿川真寿(30,700)
2位:鈴木大介(25,000)
3位:浅井裕介(22,900)
4位:中田花奈(21,400)

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