次の滝沢のツモは、
なんとラスト1枚の!これで茅森のアガリ目はなくなって、役満のテンパイ。しかも、は茅森の現物。あと1枚は確実に山にいる。
滝沢は静かにを手の内から切った。
下家園田の次のツモは、
…!
茅森には現物だ。
ここで園田は考えた。
「滝沢にこのが通るか…?」
滝沢の2つ前の手出しは6巡目の、直前の手出しは9巡目の。つまりはトイツ落としだと読める。ということは、滝沢は9巡目まではノーテンであったことが分かり(手に不要な、トイツ落としの残りであるを持っているため)、9巡目にテンパイになる牌を引いたケースでしか滝沢にテンパイは入らない。
は8巡目に滝沢が茅森に通していて、安全牌だ。滝沢は9巡目に危険牌を引いて、と入れ替えた可能性も十分に考えられる。そして、次に滝沢が手変わった場合にはこのはますます打てなくなる。
園田の出した結論は、
「切るなら今しかない」
「ロン 32000」
手を開けられて顔面蒼白になってしまった園田。
どんなに放銃しても放銃しても、その分アガリつづけることで勝ってきた園田。
パンチを食らうことには慣れっこだが、この一撃はあまりにも重すぎた。
卓上にほとばしった役満の衝撃は、会場を越えて、解説席を越えて、モニターをも越えたようだった。
この後の南場は心なしかいつもより早く進んだように感じた。また、解説席も言葉数が少なくなったように思えた。さらに、視聴者のコメントで尖ったものは一気に減ったようにも思えた。
誰しもがこの役満の衝撃波にあてられてしまったのではないだろうか。
3.南2局1本場
役満をアガった滝沢の選択はさらに冴えわたる。
親番5巡目で、
この手格好。赤とドラのある良い手だ。ここで、
滝沢はを1枚外した。狙いは、安全牌としてを置いておきたいというだけではない。
次巡、
を引いてイーシャンテンになったときにも、
を残している。これはの周りが良く見えるので、引きを狙っていたのだろう。
画像では見づらくて申し訳ないが、対面の寿人は3巡目にを切っている。茅森は2巡目に切り。
は2度受けなので、を引いたらを払っていこうという攻めの姿勢から生まれた残しだ。
また、これは先ほどにもあったトイツ落としに見せないテクニックでもある。勝負に行ける手ほど河は大人しく、というのを滝沢は意識しているのだろう。
次巡、
寿人の手出しが入ったのを見てとを持ち替え。寿人がマンズの下を持っていたのなら、思ったほど周りは良くないのかもしれない。1巡の変化で選択を変える、細やかな判断だ。
さらに、
上家の茅森が直前に切ったを引いてくる。
これを残して打。シャンポンの受けがあるのに加え、やを引けばテンパイへの受け入れ枚数も多くなるうえ一通も狙える。点棒のリードと自身が親番であることを活かしたMAXの手組。
を引いて、中点連結!
もちろんリーチだ。こんなにもいい手なのに、静かな河であることがまた美しい。