松本吉弘の我慢がいつか実を結び 果てない波がちゃんと止まる日が来るのか？【熱論！Mリーグ】担当記者：ZERO

ただでさえ萩原のリーチだし、それがさらにドラ切りとなると勝負手であることは間違いない。あそこでかを切っていればカンチャンとは言えポンテンになるので、自信を持ってポンできたハズだけに、なんというか、本当に間の悪さを感じた。

負の連鎖は止まらない。

をチーしてを切ってカンに受けた直後に萩原からが打たれる。

運命は松本をあざ笑うかのように、どこまでも裏目を用意する。

まだまだ試練は続く。

を掴んだ。とはいえ、先ほどのバックとは違い、親の5800テンパイだ。

ましてやラス目、普通なら何も考えず勝負していくだろう。

しかし、松本はこの日1番の長考に沈む。

もう一度言うと、萩原が親の仕掛けにドラを切ってくる以上、ほぼリャンメン以上の待ちと考えるべきだ。こうして考えたときに残っている筋が

くらいしかない。

（一応もある）

リャンメン以上とするならば、純粋に1/4以上で当たりうる牌なのだ。そして自分はカンチャンの5800。本当にこれが見合うのだろうか。

これまでの非情な運命の渦に身を置きながらも、必死に盤面にくらいつく松本。

ここでの押しは勇気なのか、いきすぎた蛮勇なのか。

ここでのオリは冷静な撤退なのか、臆病風に吹かれているのか。

チームのためにも、PVで待っているファンのためにも、打ち手にできることはただ1つ。よりよい準備をして、偶然を待つことだけ…

運命がどれだけ皮肉なストーリーを用意していたとしても、俺にできることはそれだけだ！

――松本は身を削るように、を抜いた。

松本はこの点棒状況下で、一旦引いたのだ。

これまでの放銃や、これまでの戦いの経過を見てきた今、どのような思いでを抜いたかを想像すると、身につまされる。体中から込み上げる苦悩が伝わってくるようだ。

こうして一旦地中に潜った松本は次の巡目で華麗に復活する。

をツモってきての待ち。

持ってきたが躍動しているかのようだ。

エスコートするかのように、直前にが通っている。

かくして

手詰まった園田からが打ち出された。

松本は折れていなかった。会心の5800のアガリ。

これまで、心を1つにしてきたABEMASのサポーターも湧く。

その後、滝沢の猛攻を受けるものの、松本は耐え、なんとか２着に食い込んだ。

あの5800は、運命に真っ向から立ち向かい、その運命を捻じ曲げるかのようなアガリだった。

対局が終わっても険しい表情は変わらなかったが、松本がどれだけ頑張っているかは、チームやサポーターのみんなは、しっかりとわかっている。

僕の我慢がいつか実を結び

果てない波がちゃんと

止まりますよに

ついそんな歌を歌いたくなってしまうプレミアムナイトだった。

 

オマケ

プレミアムナイトは、開演時に選手全員とハイタッチして入場する。

これはファンからするとめちゃくちゃ嬉しいのではないだろうか。

そして

公開場決め。かつてこんな豪華な場決めがあっただろうか。

数年前、将棋の電脳戦というAI対人間の戦いで、安倍首相が振り駒（場決めみたいなもの）をやっていたのを思い出した。

それぞれのチームをテーマにしたカクテルが売られていた。

これは萩原プロのアイデアだと聞く。さすがどのプロよりもこういった大きな舞台に立ち、見られることを意識し続けてきた俳優だと思う。この日の対局も

四暗刻をテンパイし、あわや…という場面を作った。

待ちも残っていただけに、ツモるたびにドキドキした。こういう役満をツモるか…という場面は、どれだけ麻雀を打っていても高揚するものがある。