鈴木たろう 大暴れ、だが
勝負を制したのは瑞原明奈。
その結末を作り出した
意外な要因とは…
文・武中進 【臨時担当ライター】2021年12月10日
12/10の2回戦目、
注目ポイントの一つは現在個人成績1,2位を突き進む2選手の激突である。
現在1位、格闘倶楽部のゴールデンルーキー伊達、
そして昨年チーム優勝の立役者であり今期も好調を維持している現在2位、風林火山の勝又、
上位2チームのポイントゲッター同士の対決でもある。
だが勝負をリードしたのはこの二人ではなかった。
ドリブンズの鈴木たろうである。
思えば今回Mリーグの観戦記事の依頼が私のところに来て、今日のカードを見た時に、
「できればたろうさんが出場選手にいて、その”らしさ”を全開で見せてくれるような試合になってほしい」なんてことを考えいた。
協会にたろうが在籍していた10数年、何度もその麻雀を見て考え方にふれた中で私は彼の麻雀を「緻密にして傍若無人」と呼んでたりしたのだが、
この半荘はまさにその雀風を存分に発揮する内容だったと感じる。
まず東1局のたろうの親番、
5巡目に以下手牌でイーシャンテン取らずの打、
まだ序盤ゆえ、連風牌のを使っての打点を狙いに行く彼らしい手筋、
他3人の手牌が悪かったのもあり終盤まで大きな動きもなく場は進行、
13巡目に待望のを重ねて以下の形になる。
この直後に勝又が先制ピンフドラ1のリーチを打つも、
たろうも追いついてリーチ、そしてでツモアガリ、
狙い続けたとはいかなかったが2600オールで打点十分のファーストヒット。
さらに次局1本場、今度はそのを早々にポンし3巡目で以下のイーシャンテンになる。
ポン ドラ無論簡単に手なりの進行はしないのがこの男、
万全の5800形ながら12000を目指して直後に引いたを温存。
その後に上家が切ったはさすがにチーしてテンパイ、
他家3人がこれを見て受けにまわった中、終盤に2000は2100オールをツモ。
これでリードを得た中、親番が流れた次局からは積極的に場を回しにかかる。
東2局は電光石火の3フーロで瑞原の親番リーチをかわし、
東3局は冷静な進行で、無理なくしっかりと勝又のリーチをかわす。
まったく危なげなく東場を終え、迎えた南場の親番ではまた彼らしさ全開の進行をみせる。
好配牌をもらった中、第一打でドラの切り。
これで場に動きがないことを確認したのちはじっくりと進行、7巡目には以下の万全形に。
直後に5800テンパイとなるが切られたが、ポンテンとらずのわがまま進行で親満以上を目指す。
だがその後に勝又がドラのをポンをするとさすがにをチーしてテンパイをとり勝又から5800、冷静なスピード判断もあわせてさらに突き抜けていく。
1本場では跳満を親かぶりするが、アガったのが先ほどの放銃でダンラスになった勝又であり、トップを揺るがすようなものではなかった。
終わってみればたろうは和了6回、放銃は南3局の勝又への2000点のみ、
彼ならではの大胆な打点とスピードへの意識、緻密な押し引きを存分に発揮し場を支配した内容だった。
……が、この半荘、彼はなんと2着なのである。
その完璧なゲームメイクが大きく狂ったのが南2局、親番瑞原の起死回生の一手。