【B卓】担当記者:増田隆一 2021年12月11日(土)
麻雀最強戦2021の予選は3/14の男子プロ因縁の対決を皮切りに11/14のザ・リベンジまで実に9ヶ月に渡り予選が開催された。
長い者だとファイナルまで10ヶ月のインターバルがある。
プロであれば当然その期間に対局があり気持ちの作り方も難しいと思う。
私の場合は、勝ち上がるとまずは「次も打てるんだ」と楽しみな気持ちが。
しばらくすると、頭の中で「こう言うケースになったらこうしよう」、「ああ言うケースならこうだな」と考え始めて楽しみが緊張になり、最後には憂鬱になる。
なので、基本的には残っていることをあまり意識しないように日々を過ごしている。
どんなにシミュレーションをしていようと、卓に座ってしまえば結局のところ、目の前で起こることに対して自分の知識や経験を元に一つ一つ対応するだけと私なら考える。
さて、この4人はファイナルまでの期間をどのような気持ちで過ごしたのだろうか?
まずは起家から猿川真寿。10/3に男子プロ鋭気集中でファイナル進出を決めてからも、プロ連盟の鸞和戦で決勝進出を決め、プロリーグも+116.9Pの大爆発で昇級戦線に浮上。インターバルが短く好調を維持出来ているのも強みか?
南家には鈴木大介。5/15に著名人最強決戦でファイナル進出を決める。麻雀プロではないのでそれ以降の公式戦はなかっただろうが、2019の最強位。豪快な打ち筋で、その実力は麻雀界でも認められている。また現役の将棋のプロ棋士でもあり、勝負勘は日々鍛えられているであろう。
西家には醍醐大。5/22にタイトルホルダー頂上決戦でファイナル進出を決める。インターバルは長いが、直近で自団体の最高峰、最高位の決定戦を戦っており最後まで優勝争いを繰り広げた。それまでには当然、入念な準備をして臨んでいると思うので、今回もその実力を遺憾なく発揮出来るだろう。
北家には一瀬由梨。8/22に女流プロ最強新世代でファイナル進出を決める。直近では破れはしたもののプロ連盟の桜蕾戦の決勝に残っており、やはり好調は維持出来ているイメージ。
東1局から猿川の手順が面白い。
ドラこのターツ選択から打を選択。ピンが自分の目から3枚見えているとはいえ、を引けば平和の役ありで更に両面。かなり思い切った選択と言える。
こう言った選択が決まる日の猿川は強いんだよなと思っていたら狙い通りラス牌のを引き入れてのリーチ。
結果は鈴木が一瀬から追っかけリーチの宣言牌でアガリとなるが、外しならテンパイすら入っていない。
猿川らしさが出た1局になった。
東2局の醍醐も面白い。
アンカン
ドラ カンドラ
ここらか打の選択。
猿川がをポンしているとはいえ、単純な平面だと–は5枚待ちの両面。
対して自身で一枚使っている7ソーはドラ表示牌にもめくれているので2枚待ちのペンカンチャン。
現状の受け入れよりも、引きの次の一手を見据えた懐の深い一打である。
最終的に一瀬から4500をアガるのだが、「猿川のドラポンが入っているので無理をする局ではない」、「トーナメントにおいて4500の打点なら充分」と、ヤミテンを選択したことまで含めて醍醐の雀力の高さを見せられた1局であった。
東3局、連続放銃と元気のない一瀬が反撃の狼煙を上げる。
親の醍醐の2副露に対して果敢にリーチ。
今回のB卓、一瀬は一貫して堂々と自信を持って打牌を繰り返していた。
その姿勢が後のドラマを生むのだがそれはまた後ほど。
リーチを受けた醍醐がこの形。
5800〜18000まで見える手だが、あくまでトーナメント。ラス目のリーチに1発目で放銃はバカらしいと唯一の現物を抜く。
その後、フリテンではあるが両面のテンパイが入り無筋をノータイムで押していた醍醐だが手が止まる。
上体を伸ばし、それからやや前傾姿勢で捨て牌を見つめる醍醐。
選択は打の単騎。18000のテンパイである。
醍醐の尋常じゃない押しで一瀬も怖い。
リーチ後なのでアガリ牌以外はツモ切るしかないが少し打牌のトーンが高くなる。
対して最早テンパイを隠す気がないかのように、ツモ牌を手牌に付けずにツモ切る醍醐。
決着はいかに?
最後の手番で醍醐の手が止まる。
行くのか行かないのか? どちらにせよ手の中は全て無筋。
一瀬はラス目なのである程度無理をする可能性があり、をポンされているが–待ちもある。ドラ単騎待ちある。そして捨て牌に一枚もない待ちもある。
口元に手をやり、少し苦しそうな表情の醍醐が長考の後に打ち出したのは。