君は見たか
目に映る景色を一変させた
魔王の一撃を
文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年3月22日
【第1試合】
東家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
西家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
都内で季節外れの雪が降った。
「何かが起こりそうだな」
この日実況を担当する小林未沙は直感したという。
群雄割拠
ファイナル争いが混沌としている。
2位から6位までが1回のトップラスで入れ替わるほどの僅差で、どのチームも予断を許さない状況である。
セミファイナルは4/8までの電撃戦。
スポーツ界のならわしで、こういったいわゆるプレーオフではラッキーボーイの台頭がチームを優勝へと導くことが多い。
虎視眈々
今夜は、レギュラーシーズンでくすぶっていた4人が集まった。
その4人は、必ずレギュラーシーズンでの借りを返さんと、我こそがラッキーボーイになりチームを優勝へ導かんと、孤高のリングへ向かったのだった。
「ツモ、4000オール」
朝倉康心 レギュラーシーズン+68.8
麻雀環境を整え、感覚を取り戻し、今年は飛躍の年になるはずだった。
プラスでまとめてはいるものの、シーズン中盤10万点超えのトップを取るなどして一時期は200ptあったことを考えると、まだまだ納得はいっていないだろう。
「ツモ、20004000は21004100」
魚谷侑未 レギュラーシーズン-128.7
この日、魚谷の手先が震えていた。
一昨年MVPに輝いてからというもの成績が伸び悩んでいる。麻雀内容も精神も全くぶれていないのに、ただただ牌がついてこない。
チーム戦ゆえの重圧が、魚谷の指と魂を震わせているのか。
「ツモ、20004000」
内川幸太郎 レギュラーシーズン-139.7
昨シーズン+468.7を叩き出した内川も、今シーズンはおとなしい。
セミファイナル一戦目を任されたチームの意気に応えたい。
こうして、3人のツモツモツモで迎えた東4局。
暗中飛躍
ざわざわ…
場内に緊張が張り詰める。
朝倉が三元牌を全部トイツにしたのだ。
朝倉の脳裏に2019シーズンのファイナルにて親の大三元をツモり、優勝に大きく近づいた記憶がちらつく。
「ポン」
「ポン」
すぐに2つポンできてこの形。
ラッキーボーイは朝倉になるのか。
この仕掛けを受けた魚谷の手牌。
くっつきのイーシャンテンだが選択が難しい。
のは強い。
はドラそば。