【B卓】担当記者:東川亮 2022年5月1日(日)
麻雀最強戦2022【女流チャンピオン決戦】。A卓には各団体の現役女性タイトルホルダーが集結したが、B卓も負けず劣らず、近年華々しい実績を残している打ち手がそろった。
第15期麻雀女王 東城りお
一時期は麻雀プロ活動から距離を置いていたが、2021年に団体を越えて数多くの女性プロが参戦する夕刊フジ杯の個人タイトルを獲得。同年、Mリーグ・セガサミーフェニックスの指名を受けてMリーガーとなり、印象的な活躍を見せた。3年ぶりに戻ってきた麻雀最強戦の舞台でも、インパクトを残したい。
前年度ファイナリスト 一瀬由梨
昨年はキャリアの壁を跳ね返してファイナル決勝まで進出。現最強位・瀬戸熊直樹の倍満ツモに屈したものの、オーラスの親番を必死でつなぎ、最後まで最強位を目指していた。あのとき流した涙を、今度は歓喜のものとするために、頂への再挑戦が始まる。
第2期桜蕾戦優勝 菅原千瑛
昨年は「RTD Girls Tournament 2021」「桜蕾戦」と、2つのタイトル戦で優勝。若手女性プロのなかでは世代最強の一角と目される打ち手である。2014年には最強戦ガールを務め、2016年には麻雀最強戦「下克上血戦」を制し、ファイナルにも進出している。ここで再び、自らの実力を証明したい。
前年度ファイナリスト 宮内こずえ
昨年のファイナル決勝のラストシーン。裏ドラが乗らなければ、彼女が最強位だった。女性プロとして一線を走り続けてきた彼女にとっても、最強位はどうしてもほしいタイトル。「惜しい」も「ほぼ」ももういらない。瀬戸熊に借りを返しに行くために、新たな戦いへと挑む。
東2局、宮内に大物手の予感漂う手が入る。「手なりの女王」の異名を持つ彼女だが、ここは第1打からをトイツ落としで手役を重く見た。
だが、直後に菅原が切ったオタ風のはスルー。宮内がオタ風1鳴きとなれば、周りが警戒すること必至。後のアガリやすさを考え、目先の進行をあえて自重した。
鳴かなかったことで、と書いていいのかは分からないが、直後にツモ。これで、役満・小四喜へのルートがハッキリと見えた。まさか、前回大会の丸山奏子に引き続き、ここでも役満が成るのか。
すぐにをポン。
ここで宮内はを切り、ストレートに1シャンテンとした。ただ、こうすると次にテンパイを取る際にが出ていくことにもなりかねない。
これだ。
最速の満貫テンパイは捉えた。ただ、この手が4倍になる可能性は十二分にある。
手なりか、それとも大きく見るのか。
宮内は大きく狙った。満貫をアガってもまだまだ競りの状況は続くが、役満なら一気に決勝進出の1席を確保できる。なにより、応援してくれるファンに喜んでもらいたい。その気持ちが、宮内にを打たせた。
風牌は一瀬にが1枚、東城に1枚2枚、菅原にが1枚あり、すでに必要な牌は山に残っていなかった。だが、ここで1シャンテンの菅原がを切れば宮内がポンしていたはずだ。
菅原はを切って少しスリムに構え、を最後の勝負牌とした。このとき、菅原は既に小四喜への警戒が頭にあったという。
次巡、1手進んだ一瀬が不要牌のを処理。これで、宮内の役満成就は一気に厳しくなる。
さらに手が進んだ一瀬がを切り、菅原がポン。テンパイを取って、出ていくのは。
もちろん宮内はポン、これで小四喜テンパイ。ただ、このか、その前ので満貫をアガるルートもあった。
あとは東城から切られるかどうかだ。普通はそうは切られないと思われるが、一瀬のリーチがかかれば話は変わる。一瀬の現物にがあるからだ。東城のはトイツで河に1枚切れ、単騎待ちにしか当たらない牌。
東城の安全牌が尽きたら分からなかった。だが、その前に宮内がをつかむ。
ドラドラ、暗槓で5200の出アガリで、菅原が一歩リードする。宮内と菅原、両者の選択によって結末が大きく変わっていたかもしれない1局だった。
東3局1本場、一瀬に選択。マンズのホンイツを見つつドラ周りでの1メンツを想定していたところに、を引いた。一応メンツ候補だが、カン受けは決して良いとは言えない。
ここで一瀬は、退路を断つとも言うべきドラ切りを選択した。重ねての打点アップなどより、ホンイツを重く見た進行。それにしても、かなりの思い切りである。
これがうまくハマり、なんと門前テンパイ。ダマテン5200はかなり大きい。