あなたは何を切る?
3件リーチに阻まれた、
幻の四暗刻
渋川難波の選択は…
文・江嵜晋之介【月曜担当ライター】2022年12月19日
第1試合
東家:二階堂瑠美(EX風林火山)
南家:村上淳(赤坂ドリブンズ)
西家:黒沢咲(TEAM雷電)
北家:渋川難波((KADOKAWAサクラナイツ)
あなたなら、何を切りますか?
麻雀の華、四暗刻テンパイ。
「こんなの一択じゃないか!」と思った方はよく見て欲しい。3件リーチに囲まれていては全員に通っていない超危険牌だ。
しかもリーチをかけているのは黒沢・村上・瑠美と高打点に定評のある3人。ドラで放銃したとなれば8,000点以上の放銃になることは間違い無いだろう。
この局面は東1局3本場の渋川の手牌。
1本場から順を追って説明しよう。
東1局1本場
4巡目、黒沢がオリジナルな選択を見せる。
打・でイーシャンテン。ドラこそないものの、を引けば一盃口が完成し打点も見込むことができる。しかし黒沢はを選択した。
この一打は、解説の日吉プロに「Mリーガー32人の中で1sは黒沢以外いないのでは?」と言わしめた。
打はリャンシャンテンになり速度は落ちてしまうが、タンヤオになりやすくの周りを引けば234の三色など高打点になりやすい。
早い1,300〜5,200点は狙わずにじっくりと5,200〜12,000点を狙う選択だ。
その数巡後、親番の瑠美からリーチが飛んでくる。
ダブが暗刻になったリャンメンリーチ。ツモれば4,000オールからの大物手だ。
3巡後、黒沢はを引く。
完全な安牌は無いものの、をワンチャンスでを連打する手があるが、黒沢は力強くドラ筋のを叩きつける!
打牌の意図は至ってシンプルで、自身のアガリに向け真っ直ぐ進めたまでだ。安目のでなくを引いたことで高打点になる可能性がグッと上がったことが大きい。
この強烈な打牌に、瑠美から苦しそうな笑みが溢れる。
(来ちゃったか…)
瑠美の手は打点・待ちともに申し分ない。100回中100回自信を持ってリーチをかける手だろう。
しかし高打点に定評のある黒沢のプレッシャーが、瑠美に嫌な未来を想像させる。
しかし運は瑠美に味方した。数巡後、4枚目のを引き暗カン。
そして、2巡後をツモ。カンドラ・裏ドラこそなかったものの4,000オールとなりリードを築く。
続く東1局2本場、村上が見事な手順でを使い切りリーチをかけるも…
リーチ後回りつつ、テンパイを作り直した瑠美が最後の手番でカンをツモる。
ここまでは瑠美のペースで試合が進む。
そして問題の東1局3本場。
前局、勝負手を躱されてしまった村上だが、手は落ちていない。
8巡目に平和ドラの待ちリーチをかける。
このリーチに追随するのは勢いに乗る瑠美。薄いを引き、待ちで追いかけリーチをかける。打点こそ低いものの、2枚しか残っていない村上のに対しは山に4枚残っていた。
そして同巡、黒沢も追いつく!ドラの (黒沢のアタリ牌)を引き入れ、ドラ2の待ち。3件目のリーチがかかる。