サクラはまだ、
散っちゃいない――
”背水の魔神”渋川難波が
放った5回のリーチ
文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2023年4月28日
4月27日の第1試合。
最後までトップを求めてリーチを放った堀を突き落としたのは、ABEMASの白鳥だった。
彼はその試合後のインタビューで、涙を流していた。
その涙の理由については、当日担当記者だったゆうせー氏の観戦記がとても素晴らしかったので、未読の方は是非目を通してもらいたい。
https://kinmaweb.jp/archives/195099至極の勝負、究極の涙【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4/27】
ともあれ、この結果を受けてサクラナイツは非常に厳しい立場に立たされた。
しかしこの日、変わらず自身のYoutubeチャンネルで麻雀配信をするサクラナイツの選手が一人。
今日の第2試合に出場することとなった渋川難波だった。
渋川はこの日の白鳥の涙を受けてこんなことを言っていた。
まず、「白鳥は良い奴だからね、相手のことを考えちゃう奴なんだよね」と前置きした上で。
それでも、と渋川は不敵に笑うと。
「今度会ったら言ってやりましょう」
「サクラはまだ、散ってねぇぞってね」
4月28日 第2試合
東家 松ヶ瀬隆弥 (EX風林火山)
南家 渋川難波 (KADOKAWAサクラナイツ)
西家 黒沢咲 (TEAM 雷電)
北家 小林剛 (U-NEXT Pirates)
東1局
普段から強気の攻めが魅力の渋川だが、今日はそのギアがもう一段階上げられている印象だった。
親の松ヶ瀬からのリーチを受けて一発目。
このくらいの手であれば、相手が親ということもあり、現状の安全牌こそ少ないものの、と打って安全牌が増えることを祈る打ち方をすることが多そうだが。
渋川はすっ、とを押していった。
その後も通っていないを押し、を引き入れて切りの追っかけリーチ。
だが、その宣言牌のが通らない。
渋川は松ヶ瀬に5800の放銃スタートとなってしまう。
しかし、渋川の表情に一切の後悔は無い。
昨日の敗戦を受けてサクラナイツは普通の6連トップでは通過ボーダーに足りない可能性が高い。
トップは必須条件。その上で素点も大きく稼がなければならない。
そのためにこうした少し分の悪そうに見える勝負もしていく道を渋川は選んだのだ。
東1局1本場でも、渋川は攻め立てる。
を引き入れて、のシャンポンテンパイを、迷わずリーチへ。
ピンズの形からを打っていったのは、を引き入れた時のカンでは勝負しづらいが、なら即リーチに行きやすいから。
狙い通りの入り目で、渋川がまず最初のリーチ棒を場に置いた。
しかし渋川のリーチに対して簡単にオリてくれるほど、相手も甘くはない。
まず追い付いたのは、ドラドラの手牌をもらっていた小林。
ソーズの染め手にも行けそうな手だったが、ドラドラなこともあってリーチを打つ進行にしたのがしっかりとハマった。
カンを引き入れてのピンフドラドラリーチ。
そして圧巻だったのが黒沢だ。
を引き入れてドラ3のテンパイを入れたが。