園田賢と内川幸太郎、揺れる振り子の指し示す先は【Mトーナメント2023/6/12 予選A卓】担当記者：東川亮

園田賢と内川幸太郎
揺れる振り子の
指し示す先は

2023年6月12日A卓　文・東川亮

今年から開催される「Mトーナメント」は、Mリーガー32名と各団体からの招待選手20名による2戦勝負のトーナメント。
Mリーガーにとっては、「Mリーガーとして戦う」初めての個人戦である。チームの枠が外れた一選手としてのMリーガーの戦い、非Mリーガーの強者の戦いが見られる、貴重かつ興味深い大会である。トーナメントということで、特に2戦目は普段のMリーグではお目にかかれない条件戦が繰り広げられるだろう。

開幕戦となるA卓は、Mリーガーからは園田賢（赤坂ドリブンズ）内川幸太郎（KADOKAWAサクラナイツ）が出場。共にドラフト1位であり、今シーズンは3桁のプラスを記録している。一方の招待選手では、鳳凰位・HIRO柴田（日本プロ麻雀連盟）、女流雀王・水崎ともみ（日本プロ麻雀協会）という現役タイトルホルダーが出場。非常に興味深い組み合わせとなった。

■第1試合

「赤を使わず打点を作る紅顔のアサシン・HIRO柴田」

日本プロ麻雀連盟の頂点・鳳凰位としてこの舞台に参戦してきているHIRO柴田。序盤戦は早めに赤牌を離すなど、比較的守備力を担保した進行が目立った。

しかし、自分の手に可能性が見出せるならば、簡単に手を崩すことはしない。現物やスジなどを切りつつ、形を保って押し返す道を探る。

切りにくい牌が増えてくると共に形も整い、と押していくと、をポンしてテンパイ。このは現物なので最後の安全を担保する牌として温存していたが、ここは思わず声が出たという。

園田の一人旅に見えたこの局は、最終的にHIRO、水崎とテンパイを取りきって流局。

一つ押し返しの形を見せたHIRO。
「風を感じるタイプ」だそうだが、この局できっかけをつかんだか、ここから多彩な攻め手を見せる。

次局、カン待ちのファーストテンパイで即リーチをかける。を引けばピンフ変化、高目なら三色と高打点の手に変化するが、は既にドラ表示に1枚見えており、その他にうれしい変化もあまりない。ドラが1枚あって打点的にも親の先制であれば折り合いはつく、といったところか。

これをすぐにツモると、裏ドラが1枚乗って4000は4400オールの高打点に。このアガリで内川に大きく迫る。

東3局5本場は一気通貫が見える手牌で、孤立ながらドラ受けにもなる赤5mをリリース。二つ名は「紅顔のアサシン」とのことだが、赤へのこだわりはないようだ。手役を追ったり守備的に構えたりするなかで何度か見られた早めの赤切りは、HIROの特徴の一つと言えそうだ。

南1局1本場では、メンツ手とチートイツの両方が見える手格好から、ほぼチートイツに決め打つ切り。

すぐにが重なってテンパイ、待ちがに変わってリーチ。山には残っていなかったが・・・。

リーチの現物がなかった水崎から、トイツのが選ばれる。

リーチチートイツ、裏裏で8000。これが決め手となり、初戦はHIROが制した。

笑顔で勝利者インタビューに答えるHIRO。
団体を背負っての出場であるとともに、個人としてはABEMAでの知名度アップ、そして「白チーム（招待選手組）」への仲間意識もあるようだ。Mトーナメントの盛り上がりは、彼ら招待選手の活躍にかかっていると言ってもいいだろう。

1回戦の結果は、このようになった。試合前に園田が計算した確率によると、2回戦制・上位2人抜けトーナメントの初戦でトップを取った場合、勝ち上がり確率は90パーセント台後半なのだという。必然的に、2戦目はトップを取れなかった3人の戦いが焦点となる。

■第2試合

「逃げる園田、追う内川　2つ目の椅子を巡る争い」

第2試合は園田が序盤に2つのアガリを決め、リードを作る。東3局にはある程度形が整った手をもらい、第1打にドラの東を切った。

これを親のHIROがポン。この時点でダブドラ3の満貫が確定、あと一つ役やドラ、赤が絡めばハネ満という高打点が目に見えて分かる。

もちろん園田としてはアガりたい手だが、ドラを鳴いたHIROに振り込んだら最悪。ということで、ピンズの形から早くもを連打し、守備にまわる。

園田が自らの手を見切る裏で、HIROは早くもテンパイを入れる。

間の悪いことに、待ちのは内川の手に浮いてしまっていた。そして手が進み、打ち出される。

園田としては、ライバルの内川がトータルトップのHIROに12000を放銃するという、願ってもない結果に。ただ、園田がを鳴かせた後の見切りが良かったのも確かだ。

だが、次局は放銃した内川が反撃する。ポン、チーで手を進めて1シャンテンのところにを持って来るがツモ切り。テンパイのことを考えればくっつきの優秀さでよりも残したい牌だが・・・。

をポンしてを切り、待ちテンパイ。相手からテンパイと読んだ場合、をツモ切って最終手出しが字牌ということで、ある程度強いリャンメン待ちが残っているように見える。少なくとも、が待ちになっていることはあまり想定できない。