オーラス。華麗に
舞った二階堂亜樹の裏で、
竹内元太に残るささやかな
後悔。
文・渡邉浩史郎【木曜担当ライター】2024年10月24日
第1試合
東家:猿川真寿(BEAST X)
南家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:二階堂亜樹(EX風林火山)
北家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
点棒をばはや積み果てつ。
Mリーグの卓のほとりはいと静かにて、LEDの光の晴れがましきも徒なり
この半荘、亜樹は四度の和了りでトップ目に立って、【南3局】の親を迎えた。
展開が悪い、いわゆる不運な時にはここで黒沢にマンガンをツモられたり、親番が残っている竹内の和了りでオーラスに多少の無理が迫られ、そのまま2着順ダウンしたりしてしまうのだが……
今日の亜樹は展開も向いている。ラス目猿川からの早いリーチに竹内が飛び込み、この親番が失点無しで落ちることになる。
これで黒沢のマンガンツモでも大丈夫な点差。あとはこの無敵のタイタンの親を落とせばゲームセットだが……
ここまでの試合で絶好調な男。そのまま落ちるわけもなく、早いリーチを難なくツモっての2000オールでひとまずラス抜けして黒沢を視界に捉える。
迫っての【南4局1本場】。捲られたドラは。
ドラの見切りが早い元太がわずか2巡でドラをツモ切る。ここでを切ってもどうせ次に手が進んだらドラを切る。だったら重ねられる前に切ってしまえという判断だ。
これがほんのり嬉しいのは亜樹だろうか。自身が赤を一枚持てているため、竹内や黒沢に仕掛られてもそこまで脅威ではなくなった。
黒沢の手からさらにドラのが打たれる。これで亜樹は黒沢のダマテンマンガンに放銃して着落ちのパターンもかなり限定されてきた。間違いなく展開は亜樹に向いている。
竹内からも黒沢からも特に動きがないまま12巡目、イーシャンテンの亜樹が持ってきたのは。
ここでドラ表示牌のを離す。
ドラで役牌の→オタ風のの切り順の竹内はタンピン系でまとまっているケースが多く、を鳴かれて聴牌を入れてしまうことを考慮+猿川と黒沢に鳴かれてもいいよの一打だ。
亜樹からすればこの黒沢の仕掛けは大歓迎。ドラを切っていて自分の目から赤が一枚見えている。高打点の形はかなり限定されているだろう。
いかがですかとをツモ切る。で当たるときには残りの赤二枚全部使っていても、他の手役が複合しにくいためマンガンにはならないだろうとの判断だ。
次巡、を引いて手が止まった亜樹は……。
ピンフのイーシャンテンを壊す、を切った。これも黒沢に通っていない牌をどうぞしているが、それに加えてもう一つ意味合いがある。
それは竹内への絞りだ。この点棒状況、竹内は一刻も早くリーチと言って黒沢・亜樹の両名を降ろしたいところ。なのにそれをしてこないということは、まだテンパっていないケースが濃厚。
そして直前に手からを切っている。手牌に関連しているのはまず確定しているため、自分から三枚見えているこのが急所の可能性が高いと判断したのだ。
実際切っていれば竹内にチーテンが入っていた。亜樹が自在に舞い踊る中……
黒沢がここでを切らずに、なんと一枚切れのカンを嫌って二枚切れのカン固定!
これは黒沢の目線だと亜樹に2000点打てないのが関係している。
亜樹が切ったはともかく、は竹内に聴牌を入れられてもおかしくない一打。亜樹が手を壊してまで差し込みに来ている訳ではないと感じているのだろう。もも亜樹に怖いところのため、一旦迂回した形だ。
そしてこのを亜樹がチー! 残しのもう一つのメリット、食い延ばしてのタンヤオ移行だ!