渡辺太、あなたの心臓に負担かけさせていただきます【Mリーグ2024-25観戦記 11/7 第1試合】担当記者 #東川亮

渡辺太

あなたの心臓に負担かけさせていただきます

文・東川亮【木曜代打担当ライター】2024年11月7日

大和証券Mリーグ2024-25レギュラーシーズン、11月7日の第1試合は、全18局に及ぶロングゲームになった。

結果から言えば、勝ったのは渋谷ABEMAS白鳥翔

3着目だった南3局1本場の親番で、タンヤオドラドラ赤の満貫を菅原から出アガリして一気にトップ目の太へと迫ると、

次局には3人テンパイのぶつかり合いでリーチツモピンフドラ裏の満貫を決めて逆転、そのまま逃げ切って、マイナス圏に沈むチームの背中を押す大きな勝利を持ち帰った。

ただ、この試合で白鳥よりも印象に残ったのは、随所で強烈な押しを見せた渡辺太だった。今シーズンもたびたびキンマwebのMリーグ観戦記で取り上げられている選手だが、やっぱり自分も触れたいです。

第1試合

東家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)

南家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)

西家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)

北家:菅原千瑛(BEAST X)

 

東3局3本場

この局、太はチートイツも見える牌姿だったが、【白】をポンしてメンツ手で進める。

次巡、4枚目の【白】を持って来て少考し・・・

「カン」。

加カンとした。

メリットとしては、テンパネでの打点アップに加え、新ドラが乗って打点がはね上がる、ツモ回数を増やしてアガリまでの時間を短縮する可能性が上がる、などが挙げられる。ただ、自分以外の3者が門前ということで、リーチを受けたときのリスクも大きくなる。

それを踏まえての加カンは、まずはこの手を早々にアガりきってしまおうという考えの表れ。

新ドラは乗らずリンシャン牌でも手は進まなかったが、菅原の切った【4ソウ】をポンして【北】【9ピン】待ちのテンパイに。このままアガりきれれば、この局のミッションは達成だ。

だが、そこに親の白鳥がリーチ、さらに【4ソウ】切りでチートイツのテンパイだった菅原も【赤5ソウ】を引き、待ちを変えてリーチと打って出た。

こうなると厳しいのは太。手牌7枚で親を含む2軒リーチに対応しなければならない。そして、一発目に引いてきた牌は【4ソウ】。一応加カンできる牌であり、菅原の現物ではあるが、白鳥には全く通っていない。

さすがにカンはない。だが、太は押した。役は【白】のみで打点的な魅力はないが、太にはアガれそうだという感触があったという。

たしかに、岡田は序盤から中張牌をバラ切りしていて、まともに手を進めているようには見えない。

そして2軒リーチに対して受けるとなったとき、菅原の現物かつ白鳥にも【6ピン】が通っているということで、【9ピン】はかなり選ばれそうな牌ではあった。

リーチの2人だけでなく、残る1人の手牌にも着目した上で、岡田から【9ピン】を打ち取る。打点の価値は低くとも、押すには押すだけの理由がある。【4ソウ】のところで【9ピン】を選ぶ打ち手も多そうだが、リスクを承知の上で【4ソウ】を押した、太のハートの強さが見られた1局だった。

 

もう1局、南1局1本場も印象的だった。

僅差で迎えた親番で、岡田、白鳥からリーチを受けた状況で、1シャンテンの太も【9マン】を押していく。

追いついてテンパイ。ただ、【7マン】【白】のシャンポン待ちは決して良いとは言い難い。ダマテンでも【白】ではアガれるし、切る2mは白鳥に現物、岡田にスジということで、一応テンパイだけとって様子を見る、という手もなくはない。

太はこの待ちでリーチをかけた。親番で打点もついてきそうな手ではあるが、振り込めばラスも見えてくるという状況での強気な選択。もちろん、ときにはそれが裏目に出ることもあり、実際に待ち枚数は岡田の2、白鳥の4と比べて、太は【白】が残り1枚だった。リーチであれば、手牌を入れ替えることもできない。

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