震えるオーラス、
黒沢咲の初勝利
文・坪川義昭【金曜担当ライター】2025年10月24日
今年こそは…
今年こそは…
TEAM雷電のサポーターは毎年願っている。
苦しく絶望したシーズンも決して諦めることなく、面白い麻雀を魅せ続けてくれてきた萩原聖人、瀬戸熊直樹、本田朋広、黒沢咲が優勝のシャーレを掲げる姿を。
1戦目はチームのエースである本田が快勝し、勢いは十分にある。
しかし、黒沢の顔は浮かばれていない。
チームメイトが+117.2pという貯金を作ってくれているが、自身は今シーズン5戦を消化して未だにトップがないのだ。
第2試合
東家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
南家:石井一馬(EARTH JETS)
西家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
自分がチームの勢いを止めてしまうのではないか────
そんな葛藤を胸に仕舞い込んで、不安な気持ちを振り切るように卓へ向かった。
ファンは信じている。
長年チームを支え続けてきた大黒柱である黒沢が、このままやられ続けるわけがないと。
東1局
黒沢の手牌が良い。
567と678の三色が見えている。
天秤にかけるならば
切りとする手もあるが、不確定な三色を追うよりもタンヤオの1役を重視して、ここは
のトイツを落としていきたいところだ。
黒沢の選択は
切り。
意味合いとしては
のトイツ落としと同じだが、更に
の出を遅らせて安全度を確保しようとする、かなり守備的な選択である。
絶好の手牌をもらった黒沢だったが、親の仲林がすぐに喰いテンを入れて捌かれてしまう。
スピード勝負になると、仲林に追い付く術はない。
東3局
元より
のポンテンを入れる気などなかった黒沢が14巡目にテンパイを果たす。
絶好の
を引き入れてリーチ。
山にはまだ3枚もアガリ牌が生きている。
そのリーチに立ち向かったのは一馬だ。
–
がフリテンということもあり、リーチこそかけなかったがワンチャンスとなった
を勝負した。
他家から見てもテンパイは明白だろう。
ここで手詰まりを起こしたのが親番の堀である。
前巡に
を抜いて撤退したのだが、完全安牌が無くなってしまった。
黒沢のリーチには中筋となった
が切りやすくはあるものの、問題は
を勝負した一馬だ。
捨て牌を眺めると、
が4枚見えで
と
も3枚見えている。
マンズも
が既に枯れていることを考えると、マンズの下目は手牌の中にある可能性が高いのだ。
一馬のヤミテンを警戒し、苦渋の決断で放った
のワンチャンスである
に黒沢の声が掛かる。
裏ドラもしっかりと乗せて8,000点。
黒沢が頭一つ抜け出した。














