常に正解を吐き出す…いばらの守備型エース 多井隆晴の息詰まる「選択」【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

熱論!Mリーグ【Tue】

常に正解を吐き出す…

いばらの守備型エース

多井隆晴の息詰まる「選択」

文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2020年3月24日

Mリーグで「チームの絶対的エース」といえば、皆さんは誰を思い浮かべるだろうか?

ただのエースではない。”絶対的”エースである。

恐らく二人に絞られるのではないだろうか。

一人は麻雀格闘倶楽部佐々木寿人

圧倒的な攻めの手数。攻めダルマと呼ばれるその攻めの姿勢は、レギュラーシーズンのリーチ率1位が物語っている。

そしてもう一人はこの男だろう。

渋谷Abemas、多井隆晴

レギュラーシーズンにおいても高い和了率・低い放銃率で危なげなく200ポイント以上稼いだ。

寿人とは対照的に守備型のエースといった印象だ。

しかしそもそも麻雀は攻めが強いゲームと言われている。守備型で結果を出すということは、非常に難しい選択を正解させ続けないといけない、まさにいばらの道だ。

そのいばらの道を歩き続けて勝ち続けてきた多井、選択の精度の高さは他の追随を許さないものであろう。

1戦目はそんな多井が仕掛け攻め、リーチ攻め、打点攻めの三人と当たることとなった。三者三様の攻めにどう立ち回るのか。

1戦目

東家 多井隆晴(渋谷ABEMS)

南家 黒沢咲TEAM雷電

西家 小林剛U-NEXTパイレーツ

北家 高宮まり麻雀格闘倶楽部

【東1局1本場】

前局に2000オールをツモアガった多井。勢いそのままに更なる加点を目指す。

この形から早速をチー。ホンイツチンイツに一直線だ。

さらに7巡目、

をポン。

これでホンイツのみ2000点の一向聴から一気にチンイツ満貫のイーシャンテン。

そして次巡、

絶好のを引き入れる!まさに最速最強の満貫テンパイだ。

しかし他家も黙ってはいない。

西家小林、多井の手の進行度合いを見切っていたのだろうか?

この非常に広い形からをチーして3900のテンパイを入れる。いかに小林の副露率が高いとはいえ、フラットな状況なら取らなかったと思われるチーテン。恐らく多井を警戒しての選択だろう。

そして南家、黒沢。

こちらは当然門前でのテンパイ。リーチ・平和・ドラ1の待ちだ。

そして先にテンパイしていた多井がこのを掴んでしまう。

この形からであれば当然のプッシュ。一発に裏も乗って満貫の放銃となってしまう。

【東4局】

東2局、東3局と黒沢が加点し、続く東4局。抜けたトップ目を他三者が追う展開となった。黒沢以外の三者はこの局の結果次第でトップを目指すか、ラスを回避するかの舵取りが決まりそうな状況。まさに勝負所の東ラスだ。

そして勝負所で頼りになるというのが、多井隆晴がエースたる所以の一つだろう。

絶好のカンを引き入れ、待ちのテンパイ。リーチ・平和・赤のこの手を……

一発でツモアガる!さらに裏ドラを乗せてハネマンのアガリだ。これで黒沢との点差を一気に15000点詰め、その差は9600点。充分トップが狙える点差で、対局は南場を迎える。

【南1局】

アガって自身の親番を迎えた多井。この局も大チャンスとなった。

10巡目、

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