二転三転のシーソーゲームを制した、ベルセルク・高宮まりとセレブ・黒沢咲の選択 麻雀最強戦2020「タイトルホルダーvs Mリーガー 最強の女流決戦」観戦記【B卓】

ただ、ドラであるため少々鳴きにくくはなっている。

3巡目の黒沢。

一刻も早くテンパイ、リーチと行きたいだけに、ドラを打って真っすぐ手を進めるかと思いきや・・・

pastedGraphic_10.png

ドラを使うかタンヤオを絡めるかという、打点を意識した一打だ。

たとえばこの手をリーチピンフツモの1300オールにしたところで、次局にもう一度和久津とアガリ競争をしなければならなくなる。

であればある程度高く仕上げて差を広げたい、ということだろう。

ただ、これは本当に勇気のいる決断だ。

この選択が一手の遅れを生み、和久津に逃げ切られることも十分考えられるからだ。

黒沢咲という打ち手の魅力は、高打点を鮮やかに決めることはもちろん、打点を目指す中でこのように腹をくくれるところにあると思う。

黒沢が手を進め、1枚浮いていたpastedGraphic_57.pngを打ち出す。

和久津が当然のポン。

そこから高宮のアシストもあり、和久津が先にテンパイを入れた。

しかし10巡目、黒沢がpastedGraphic_53.pngpastedGraphic_43.png待ちテンパイで追いつき、リーチ。

この時点で和久津の待ちはpastedGraphic_43.pngpastedGraphic_63.pngに変わっており、山に2枚あるpastedGraphic_43.pngが両者のアガリ牌となっている。

pastedGraphic_43.pngを引いたのは、黒沢だった。

ドラは絡まずとも2600オールで和久津を逆転、さらに5200点というノーテン宣言が可能な点差をつけることに成功した。

よほどのことがない限り、事実上の最終局となる南4局1本場。

焦点は和久津が逆転条件をクリアできるかどうかだ。

和久津の第1ツモ時点の牌姿。

自風のpastedGraphic_38.pngが暗刻、そしてpastedGraphic_34.pngがトイツになった。

ここから1000-2000ツモ、あるいは5200点以上の出アガリ、黒沢から2600点の直撃を狙うとなると、役牌をさらに絡める、ドラを使う、ホンイツ、あるいはリーチツモも候補になるだろうか。

こういうときに大事なのは、自分の中で数パターンの構想を描き、対応していく準備をすることだ。

迷っている内に鳴くべき牌を鳴けずに手遅れになる、あるいは下手に鳴いて条件を苦しくする、というのは最悪である。

和久津は黒沢の打った1枚目のpastedGraphic_34.pngを即座にポン。

鳴いて仕上げるルートを選んだ。

道中でpastedGraphic_68.pngを引き、ドラを使うルートも確保。

そしてpastedGraphic_48.pngも躊躇なく鳴き、一気に手を進める。

和久津はギリギリまでpastedGraphic_68.pngを引っ張った。

その思いが通じ、最終盤でついにドラpastedGraphic_71.pngを引き入れる。

黒沢はpastedGraphic_34.pngポンの時点で完全に撤退している。

高宮も自身の手で勝者を選ぶようなことはせず、現物を並べていく。

あとは山との勝負だ。

和久津の最後のツモ、アガリ牌はpastedGraphic_23.pngが1枚。

ツモれず。

黒沢が逃げ切り、高宮と共に決勝卓へと駒を進めた。

4位となった茅森は、黒沢の追っかけリーチに一発で打った18000が、仕方のないこととは言え痛恨だった。

ただ、アガリ回数で言えば卓内で2番目に多かった。

いかんせん打点が伴わなかったが、アガリにドラがもう少し絡んでいれば、展開も全く変わっていたはずだ。

3位の和久津は、最後の1牌が遠かった。

放銃はなく、大物手もアガったものの、高宮、黒沢のツモアガリに屈した形に。

オーラスでの逆転負けは悔しさも大きいだろうが、ぜひMリーグの舞台で雪辱を果たす姿を見せてほしい。

2位の黒沢は、出産によるブランクを感じさせない麻雀を見せてくれた。

一撃必殺の高打点もさることながら、負けているオーラス親番でも悠然と構える姿は、まさに「セレブ」。

トップ取りの決勝でも、十分に勝機はあるはずだ。

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