「全力を尽くしたんで後悔はないです。最後の局面以外迷うところも無かったので…」
400点差での敗退となってしまった鈴木。悔しくないわけがないが、こちらも酒井同様、納得の表情だ。
さて、勝ち上がった2選手だが、いずれも日本プロ麻雀連盟の所属選手となったわけだが、解説の滝沢プロ(こちらもプロ麻雀連盟所属だ)が対局後に珍しく厳しい言葉をかけていたのが印象的だった。
「勝ち上がったのが連盟の選手で、勝ったから言いますけど、ちょっと固かったですね。選択が練習の通りできていない。本当はもっとできるはずです。」
実は筆者も似たような感想を抱いていた。
特に2位通過の新谷に対してだ。
「参加するという意味では自分らしさは出せたんですけど、あまりいい麻雀が打てなかったのが心残りです。」
新谷はオリ打ちをした局を悔やんでいた。
南3局
は手出し。先にを切ることでを出やすくしており、さらに789の三色も見ていたことが分かる。
ただ、普通はの切り順になりそうだ。
木原はこの辺りの捨て牌の見せ方が独特だ。
そして鈴木もリーチ。
こちらは素直な手順だ。
そしてラス目酒井の動向も重要だ。
打点の必要な酒井はおそらくピンズのホンイツ。
親リーチにを勝負していることからも、テンパイしていてもおかしくはない。
3人に囲まれた新谷の手牌がこちら。
一見安全牌が無いように見えるが、親リーチ後の捨て牌を見てみると
親 木原 (リーチ)
南家 鈴木 (リーチ)
北家 酒井 (チー)
つまり親リーチにはとが通っており、鈴木のリーチにはが、酒井の仕掛けにはが通っている。
酒井の仕掛けは恐らくピンズのホンイツなのでは怖いが、鈴木のをポンしていないのでシャンポンは無さそうだし、タンキ待ちも可能性は低い。(が通っているのに、わざわざ通っていないを切ってタンキにしているのが少し変)
鈴木のリーチは待ちの可能性はあるため、、の順番になるだろうか。
解説の滝沢プロも「字牌ですね」と言っていた。
しかし新谷はが4枚見えていることを理由にを切って親に7700の放銃。
通過できたから良かったものの、もし通過できなかったならば、悔やんでも悔やみきれない局になっただろう。
この局面に限らず、新谷は全体的に字牌を手に残す進行が多かったように思う。
具体的には、ターツが足りていないのに字牌を残して進行する局面が多々見られた。
驚いたのはこの局面だ。
東4局
ドラドラのチャンス手。
自身は微差のトップ目だが、こんなリードはあってないようなものだ。
次巡を引いてしまったが、解説の滝沢プロは驚きの声を上げ、
「私ならミスと感じる一打ですね。普段からこういう風に打っているなら問題ないと思いますが。」と解説。
確かに参加する場面は多かった新谷だが、かなり消極的な印象を受けた。
恐らく5度目となるこの最強戦の舞台。対策として色々と準備してきたのだろうが、少し裏目に出てしまったかもしれない。
決勝卓では「いつもの新谷」の麻雀を見せてくれることを期待したい。
一方1位通過の木原は堂々とした打ち回しだったと思う。
緊張が表れていたのがこの局。
東4局、下家の鈴木がをポンして真ん中の牌ばかり切っている捨て牌。
そこに切られたをチーするのだが、うっかりのリャンメンで鳴いてしまった。
ドラがなのでのカンチャンで鳴くべきところだ。
鈴木の仕掛けにカンで放銃になってしまっては目も当てられない。
これははっきりミスだが、他の局では初出場とは思えない堂々とした打ち回しが印象的だった。
東2局
マンズホンイツをみているか。