この局面について白鳥にメッセージで問い合わせてみたところ、以下のような答えが返ってきた。
「親の萩原さんが来ている気配があったので、親の安全牌を残したかった。後からは切れなくなっちゃうので、今しかないという感じで切った」
実際、この時点で親の萩原の安パイはのみ。
そしてアガリが難しいと読んだことから、を逃がして安パイをストックするスペースを確保したということだ。
ただ肝心なのは、字牌3副露の岡田に対してを「切れた」理由である。
ポイントは。
岡田が6打目にツモ切り、そしてツモ切りの後に手出しした牌だ。
(Mリーグ牌譜ビューアより。黄色くなっているのがツモ切り)
白鳥がを暗刻で持っていることから、ここで岡田に当たるとすれば単騎待ちのみ。
つまり、4枚ある手牌の残り3枚はメンツとして構成されていることになる。
XXX ※Xで1メンツ
を手出しの際に入れ替えたとすると、その前の形は
XXX
こう見ると、ツモ切りは明らかにおかしい。
もしツモ切りの段階でテンパイしていたなら、ツモアガリを拒否していたことになるからだ。
また、イーシャンテンだったとしてもを重ねてのテンパイを取らなかったことになる。
最初のツモ切りの際、手の内にが絡んでいたと想定すると
■の場合
■だった場合
引き切りでハネ満テンパイ
岡田は離れた4着目とはいえまだ東場。
役満条件の1局勝負というわけでもないのに、この時点で目の前の高打点を拒否してまで役満を追うだろうか。
ましてやXにやが絡んでいない普通の手役ならなおさらである。
つまり理屈で言えば、白鳥の目からはこの瞬間のみ、で放銃となる可能性が限りなく低くなっていたのだ。
一方で、このタイミングを逃せばを離すチャンスはもうなさそう。
そこで一気にを処理し、他からの攻めにも備えたということだ。
この局面についても、白鳥からのメッセージを紹介する。
「メンツ手の単騎で、手牌4枚からを空切るのはなかなかしないのではないか。ピンズが濃厚だけどマンズの線も消えてない。にツモだったらがドラだから高目ハネ満に受けそう。が入っていれば単騎があるかもしれないけど」
「とにかく役満に放銃するっていうパターンがテンパイ取らずしたか、ハネ満や倍満をツモアガらなかったケースしかないのでを打ちました!」
白鳥が空切りまで想定して手牌構成を読んでいたことが分かる。
なお、暗刻落としの途中で1牌でも手出しがあれば、もうは切らなかったそうだ。
見事な判断で流局へと持ち込んだ白鳥だったが、次局はリーチ後にテンパイを入れた岡田のホンイツ赤に捕まり、8000は8600の放銃。
岡田は流局2局を挟んだ南1局2本場でも2000-4000は2200-4200をツモ、点数状況は一気に拮抗してきた。
南2局は萩原が1300-2600をツモ、トップ目に立つ。
南3局は流局を挟んで勝又が岡田から1000は1300を出アガリ。
オーラスは全員にトップから4着までの可能性がある、緊迫した状況となった。
南4局、親の萩原にものすごい手が入った。
暗刻にドラのがトイツ、既に七対子イーシャンテンだがさらなる変化も見える。
一方の白鳥はダブにがトイツ、2巡目にもトイツに。
そこからをポン。
手役で言えば、いまだMリーグで成就したことのない役「三色同刻」が見える。
ただ、本命はだろう。
全員がアガリに来る状況、はすでにドラ表示牌で見えており、手の内に留めてはおけないからだ。
後付けで役牌が鳴けず苦労するというケースはままあるが、こうした接戦のオーラスでは積極的に動いていった方がいいように思える。
実際に、勝又がこの形から打。
現状4着目でアガリ必須の状況では、いつまでも抱えてはいられなかった。
ポンした白鳥がシャンポン待ちでテンパイとなる。
一方の萩原は、なんと4巡目でツモり四暗刻のイーシャンテンとなっていた。
もちろん仕掛けても高打点が見える。