地獄の南場にピリオド一閃!
勝機を逃さない園田賢、
鬼気迫る仕掛け
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2021年3月1日
3月になった。レギュラーシーズンももうあと僅かである。ここからは一つのラスが命とりになりかねないので、普段よりもシビアに打つのではないだろうか。そうなるとボーダーラインを割っているチームは一層不利になる。

1試合目を終えてのチームスコアはこちら。ボーダーラインの争いがますます激化している。3位から下はもうどこが落ちてもおかしくない。唯一差をつけられてしまっているドリブンズはここでラスになるといよいよ厳しい。今回筆者はドリブンズに注目した。

3月1日 2回戦
東家 小林剛(U-NEXTパイレーツ)
2試合目の選手たち。チームトップのABEMASからは松本が連投。個人MVPを狙ってこいと言わんばかりの起用で好感が持てた。風林火山は勝又が連勝を狙う。1試合目の借りを返したいPiratesからは船長小林。予想的中率は100%だったに違いない。
そしてもう後がないドリブンズ。チームの命運を託されたのは園田だった。

そしてもうひとり、園田に続いて注目していたのが解説者である。この日は最高位戦日本プロ麻雀協会の現最強位、醍醐大プロが初登場。Mリーグは終盤になるとMリーガーと遜色ない実力者が解説者として登場する。これも楽しみのひとつだ。筆者は初めて醍醐プロの解説を耳にしたのだが、聞きやすい声で清涼感があった。
前置きが長くなったがいよいよ内容に移る。
東2局1本場。

園田の手は2面子ができていてほかの形もいい。あとは浮いている牌にくっつくかというところ。上図の2打目はを切った。
との比較は
を引いても
のターツがあるのでフォローできるという点。

にくっついて好形ができあがった。ここで打
としたのが細かいポイント。
を引いて789の三色になる含みを残している。

園田が抜け出したように見えたが、効果的なツモで猛追していたのが配牌が悪かった小林だった。現状もそこまでよくないのだが。

2巡でこの通り。園田よりも先にテンパイを入れることができた。ドラのを切って待ちは
。しかも字牌ばかり切っていたので河がめちゃくちゃ強い。

これでは園田もどうオリていいか難しい。ならば前に進むのみ。をすっと押す。

次巡にを引いてきた。
を押せば
待ちのピンフドラ1のテンパイである。即座にリーチしたくなりそうだが手を止めた。

園田の選択はダマ。解説の醍醐プロがすぐに意図を察する。
「形上は絶対リーチなんですけど、が3枚見えて(小林に)通っているんですよね。なのでちょっとダマにして拾おうとしましたね」。
なるほど。自分がリーチをかけてしまうと最後のを手牌にしまわれてしまう可能性が高いということだ。

親の勝又も参戦。カンチャンでを鳴き、打
。当たり牌の
は切らずにタンヤオを目指して粘る。勝又といえばテンパイの執着心が強いことでおなじみだ。特に親番ではそう簡単に諦めない。

これを見た園田、手を止めた。持ってきたは小林にも勝又にも通っていない。

少考後、ツモ切りリーチを敢行。筆者でも「親もきたのならいってしまえー」と曲げていそうだ。だがそんな勢いだけの理由ではなかった。醍醐プロは「この1巡でわかったことは、勝又さんがもう1個のを持っていることはなさそうだなということ(タンヤオ仕掛けのため)」という点も挙げている。自らが引ける確率がわずかに上がったという判断だ。こういうのを聞くと「「おおーっ」と思うし、麻雀観戦が面白くなる。

結果は園田が狙い目のではなく
のほうを引いた。1300―2600は1400―2700で5500点を得て2着に立つ。ツモ切りリーチ大成功となった。
東3局。

親の園田はまとまった配牌を得た。上図はイーシャンテン。しかし「の形が相当悪いんですよね」と醍醐プロ。いわゆる2度受けというやつで、両面になるには
を2枚ずつ持ってこないといけない。
か
を縦に重ねれば解決だが、やはり枚数は少ない。

ならばそこをほぐしていくのがよさそうだが、園田は崩さない。いまきたをツモ切り。
「場況的に松本さんがを切ってくれたので
は持ってなさそうだなと。勝又さんも
切ったので持ってなさそうだなと」(醍醐プロ)という点で山に残っていそうだと読めるわけだ。

この読みがズバリ。を引いて打
とし、
待ちのリーチをかける。山にはあと6枚も残っていた。「あれ、これ調子いいかもしれない」と醍醐プロもちょっと笑いながら園田の好調を予感した。

イーペーコーになるを引いてリーチツモピンフイーペーコー赤で4000オール。大きくリードを奪うアガりとなった。
東3局1本場。
