麻雀史に刻まれる最強のボスキャラ“渋谷ABEMASの不沈艦”多井隆晴は何度でも浮かび上がる
文・ゆうせー【火曜担当ライター】2021年5月11日
ファイナルシリーズ4戦目
東家 堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
凄まじい面子だ。この顔ぶれでの試合が見られること自体が本当に幸せだと感じる。そんな4戦目の内容をじっくり振り返っていこう。
選手入場時、
頬を二度三度叩いて気合を入れていた多井は、
東1局、
この配牌から、
打。1枚切れのを安全牌気味に抱えるとともに、価値の低いこの手なら他家に役牌を鳴かれて流されても、リーチで攻められるよりいい、という一打だろう。
親の堀がダブをポン。まわってきた次の手番で多井は、
ドラ表示牌のを切った!ドラを使いにくくして主に親がドラを切ってくれることを目論みつつ、自身はチートイツに決め打って後々に手詰まらないように構えた。まさに守備型の一打だ。
リャンメンを払ったあとも、2件現物のを並べる。「チートイツっぽい河だが、現物が出て来るということは、守備に寄せているのではなくアガリに来ているのだろうか」と相手に考えさせる効果もあるか。
一方でダブを鳴いている親の堀、
イーシャンテンで、ここから打とする。は2枚切れだが、だからこそのカン待ちと縦引きへのわたりも見た選択だ。
この局は、
勝又のリーチと、
たろうのダマがぶつかる。
堀はイーシャンテンから引き気味に。
多井は「予定通り」守備駒をため込みながら、チートイツのイーシャンテンをキープ。
この局の結果は、
2件テンパイで流局となった。
東2局1本場は、たろうの手がいい。
3巡目にを残して打。裏目のツモは変化十分の仮テンにとれ、同じく裏目のツモは打として、こちらも枚数十分のイーシャンテンになる。を残すことでというピンズの伸びを見た一打だ。
形と他家への圧力とで、ドラのもスッと手放す。
たろうの狙い通り、
ピンズでメンツが完成してリーチ!
そこへ、
多井が被せた!
たろうはドラののあとにを切ってのリーチ。安全牌としてを持っていたのなら、ドラのを抱えてブロック切り替えを狙う必要がないくらい、良い手格好だったということだ。他にはがアンコから1枚外されたというパターンがあるが、こちらも好形テンパイか、愚形なら手役絡みの手だと読める。価値の低い愚形ターツがあるならば、ドラのを残して愚形ターツを払っている可能性が高いからだ。
つまり、たろうの親リーチの評価は高く見積ることが出来て、それに対して多井はシャンポン待ちでぶつけにいったのである。かなり積極的な判断で、優勝決定戦であるファイナルシリーズ仕様だと思えた。
「ツモ」