再び吹き荒れる10万点の嵐 風に乗った朝倉康心と、もがく焦燥のベルセルク【Mリーグ2021観戦記12/2】担当記者:東川亮

再び吹き荒れる10万点の嵐
風に乗った朝倉康心と、
もがく焦燥のベルセルク

文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2021年12月2日

麻雀は4人で行うゲームであり、一つの試合においても、4者4様の捉え方がある。大和証券Mリーグ、12月2日の第2試合については、Mリーグ史上2度目となる10万点オーバーのトップが生まれたゲームとなった。大勝に喜ぶ選手の陰には、苦しんだ選手がいる。今回はそんな二人について、それぞれに書いてみたい。

第2回戦
東家:二階堂瑠美(EX風林火山)
南家:高宮まりKONAMI麻雀格闘倶楽部
西家:東城りおセガサミーフェニックス
北家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)

追い風を操った朝倉康心

東4局2本場
朝倉は3巡目に高宮から切られた【9ピン】をスルーしている。【東】【白】がトイツ、いわゆる「ダブルバック」の形で、通常なら仕掛けやすいところではある。ただ、【9ピン】ポンであればタンヤオが消え、相手から役牌トイツを警戒されれば、形の整っていない相手には字牌を止められてしまいそう。自風と場風が重なる、いわゆる「ダブ【東】」がドラという超勝負手の局面だけに、朝倉は軽々には動かなかった。

【白】はポン、役が確定。【白】ドラドラの5800でもなかなかの打点で、もし【東】が鳴ければ一気に18000の大物手になる。

そこに高宮がリーチを打ってくるが、【東】が鳴けてテンパイなら、ド無スジの【5マン】と言えど勝負。

最後は高宮から出アガって18000は18600。リーチ棒も含めて2万点近い加点に成功し、一気にトップを手繰り寄せた。

個人的に、今回の試合で最も朝倉らしさを感じたのが、東4局5本場
13巡目、東城のリーチ宣言牌【5ピン】をチー、一発を消しつつ手を進める。リーチの現物は【8ソウ】【3マン】とあり、対リーチだけを考えれば困ることはない。

面白かったのがこの【2ソウ】をポンしたこと。目に見えて4枚目、チーして通っていない【3ソウ】【4ソウ】を使い切りつつ安パイ【2ソウ】を抱えるのがよさそうに見えたが、後の中スジ【5ソウ】出アガリなども考えたか。

さらに【7ソウ】もチーでき、何とテンパイ。最終的には東城のツモアガリとなるのだが、点数を持った親番だからといって簡単に局を諦めず、最後まで粘った姿勢が印象的だった。

南3局は、朝倉が試合後にポイントとして挙げていた局だった。かなり縦長の展開となっている中で、高宮や瑠美は着順アップのためにハネ満クラスのアガリが欲しい状況、二人が手を組むとなれば必然手が遅くなり、東城が先手を取るケースが増える。故に、自身がアガリに行かなければいけないと考えていたという。

朝倉はここから【8マン】をポン。アガることを考えれば、2シャンテンから2シャンテンという鳴きである。ネックのリャンカン形が残る門前進行よりも、仕掛けていけるタンヤオに進路を見いだした。

カン【3ソウ】を埋めて1シャンテン。タンヤオ固定なら【3ピン】切りもあり得たが・・・

【6ソウ】で、【4ピン】チーも逃さない構え。【6ソウ】は親の東城の現物でもある。非常にアグレッシブな一打だ。

【4ピン】は思考とツモがかみ合う最高の引き。

東城も2つ仕掛けてテンパイするが、朝倉がツモって東城の親を蹴ることに成功。これで2番手の東城と39200点差、トップは盤石となった。

オーラスの親が好き放題できる、いわゆる「王様タイム」の到来である。

追い風も吹いていた。

朝倉はわずか4巡でタンヤオピンフドラ赤のリーチをかけると、イーペーコーがつく高目【3ソウ】を一発ツモで倍満。7万点持ちから8000オールをツモったらならば、もはや狙うはただ一つ、KONAMI麻雀格闘倶楽部伊達朱里紗が11月18日に記録したMリーグレコード、105500点の更新だけだ。

次局は【東】ホンイツでテンパネの3200は3300オール。記録更新まであと600点!

さらに次局も手牌がいい!

そしてリーチ!

さあ行けっ、朝倉更新っ!

が・・・ダメっ・・・!!
直後にダマテンを入れていた瑠美がツモアガリ。

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