「バランスのゲーム」を乗りこなせ!! 沢崎・小林・多井・黒沢、それぞれのバランス。【Mリーグ2021観戦記1/21】担当記者:渡邉浩史郎

「バランスのゲーム」を

乗りこなせ!!

沢崎・小林・多井・黒沢、

それぞれのバランス。 

文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2022年1月21日

【第2試合】

東家:小林剛U-NEXT Pirates
南家:黒沢咲TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:多井隆晴渋谷ABEMAS
北家:沢崎誠KADOKAWAサクラナイツ

四人麻雀は時に「バランスのゲーム」と評される。

不確定要素が多すぎるゆえに、仕掛けのバランス・手組のバランス・押し引きのバランスなど、ありとあらゆる選択の幅を自らの研究や経験から決めていかなければならない。

そのバランスの違いによって、強者の中でも選択の違いが生まれてくる。

本日集まったのはその中でも超がつくほど独特のバランスを持つ四人の強者だ。

超鳴き、小林。
超面前高打点、黒沢。
超読み、多井。
超感覚、沢崎。

【東1局】

早速バランスを見せてきたのは小林。この手牌から打【1ソウ】

タンヤオとW【東】の仕掛けられる形と、打点のドラを残した一打。面前リーチ派にはあまりない選択の幅だろう。早速バランスとは何かを教えてくれる。

こちらは超感覚、沢崎。ペンチャン落としの後の【中】引き。マンズのホンイツまっしぐらかと思いきや、ここで迷彩の【9マン】

自風の【北】をポンしてもなお打【白】。局単位の数字で考えれば損しかなさそうな一打だが、一貫して行い続ければ相手の判断を鈍らせ、局・半荘を超えて得が生まれる。論理・研究畑にはない独自のバランスを見せてくれる。

鳴きこそしなかったものの、あの超守備多井に七対子イーシャンテン程度の手で上家からこの【4マン】を打たせているという事実も、迷彩が生んだ目に見えにくい得の一つであろう。

こちらはゴツゴツしてきた親の小林。タンヤオの仕掛け効率なら二枚切れの打【8ピン】だが……

四対子なら七対子も目標に据える。打【8ソウ】でまずは様子見。

こちらはチームも個人も好調とは言いづらい黒沢。【9ソウ】をカンしていてのこの形。

【2マン】を切れば5ブロックだが、巡目は既に中盤で自身の手は愚形残りの二向聴。面前二人の安牌【2マン】を対子で残し、三色を半ば決め打つ形の打【8ソウ】とした。

終盤。大きく動いたのはまず沢崎のこの聴牌。浮いているのは自分でポンしている【北】

仕掛け手の加カン、一般的には受けがよく・打点上昇効率が良ければしたいところ。

この手は既に出アガリ跳満あり、受けもシャンポンと条件を満たしていないように見えるが……

相手が全員受けているなら、実質ノーリスクでの一牌ツモとなる。ここは相手の受けを確認した沢崎。果敢に加カンを選択。

しかし受けながら回していた小林が、望外の七対子ドラドラ聴牌。【2ピン】はフリテンの上に二枚切れだが沢崎には通っていないところ。【3マン】は一応沢崎のツモ切った【6マン】の筋だが実際は跳満の当たり牌。ここでも沢崎の迷彩がロボ小林を揺らしにかかるが……。

ここは自身の手の価値を重く見たか、出アガリのできる【3マン】単騎に取る。

見事放銃回避に成功。だが次巡引く牌では【3マン】放銃もあり得る。

小林が引いたのは……

なんと【3マン】そのもの!! 天国と地獄の選択を潜り抜け、小林が4000オールで先制を果たす。

【東4局】

時は進んで沢崎の親番。順調に加点をしてきたところ。ここで一気に小林を捲りにかかりたいが……

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀戦術シリーズ新刊/