ファンのために
またこの舞台で
麻雀を打つために
黒沢咲は自分を貫き通す
文・江嵜晋之介【火曜担当ライター】2022年3月8日
第2回戦
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
南家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家:黒沢咲(TEAM雷電)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
残すところあと3試合になったレギュラーシーズン。
1試合目でトップを取り個人MVPが現実になってきた滝沢や、セミファイナル進出のために10万点越えのトップが欲しいドリブンズ、更に4位のボーダーをめぐるKONAMIとセガサミーの争いと終盤戦に相応しく話題が盛り沢山だ。
一方、既にセミファイナル進出が難しくなった雷電は、直近風向きが変わってきている。本日登板した黒沢は今日トップなら個人連勝となる。
チームが苦しい中でも応援してくれたファンのためにも1勝でも多くトップを持ち帰りたいところだ。
東1局
開始早々、黒沢は大物手を炸裂させた。
リーチツモタンヤオ三色ドラ1の跳満。序盤から大きなリードを築き上げる。黒沢は数巡前、イーシャンテンのこの形から打とした。
ドラが2枚以上あればリーチ以外の役が無くとも打点が確保されているため、手役は狙わず受け入れ枚数重視で進める方が一般的だ。
今回の手牌で言えば三色は見切り赤ドラを使いきれそうな打を選択する打ち手が多いだろう。
しかし黒沢にそんな常識は通用しない。三色を固定しテンパイまでの受け入れ枚数が減る選択を採用する。こうしておけば安目のを引いた場合も打のテンパイ取らずでピンズの連続系とのくっつきテンパイを狙うことができ、・などが引ければ赤を使い切った567の三色も遠くに見据えることができる。愚形の中打点になる選択肢は除外しつつ最高打点の可能性を残した一打だ。
東2局では残り1巡で平和のみのテンパイを入れていた滝沢がツモ番残り1回のところでリーチを敢行。
チームポイント的に親番はオリることができないたろうが不運にも1発で放銃してしまう。
裏ドラも乗り8,000点のアガりとなる。滝沢は1試合目のトップで個人MVPが見える位置までたどり着いている。個人MVP、そして4位以内でレギュラーシーズンを終えるため(4位以内だとセミファイナル最終日に対局することができ若干有利になるため)になんとしてもトップが欲しいところだ。
流局を挟み東3局1本場、親番黒沢の配牌。
ドラがなだけに難しい。七対子のリャンシャンテンのため対子には手をかけにくく、孤立牌の周りを引けば三色の種になる。
黒沢は678の三色を見切る打とし、次巡の対子落としを選択する。
七対子は見切りつつ、タンヤオ系の手を目指す。道中ドラが暗刻被りしてしまうが狙い通りタンヤオ赤のイーシャンテンまで漕ぎ着ける。
そこにたろうからリーチ。
リーチ平和赤の待ち。対局後のYouTube配信で「に全く自信がなかった」と説明。しかし打点・手替わりの無さから渋々リーチしたとのこと。
直後、黒沢はを引く。手堅くいくなら・のダブルワンチャンスで複数枚見えているのでシャンポンも無い切りになるだろう。しかし黒沢は平和まで見据えて打を選択。
これがたろうへ一発での放銃となる。
試合後のインタビューでこの放銃について黒沢は「やりすぎだった」とコメントしていた。トップ目の黒沢がラス目のたろうへ放銃したことで上下の差が大きく縮まる。
この試合は各者の手がぶつかる展開が多かった。
東4局1本場にはたろうが魚谷へ5,200を放銃。
南2局1本場ではたろうが黒沢から7,700点を出アガリ。
大きなツモアガりは東1局のみで、互いの勝負手をぶつけ合いながら点数が動いていったが、1人が抜き出ることはなく、全員が2万点台、トップからラスまでが5,100点差と超接戦のままオーラスに突入した。
南4局
黒沢の配牌
が鳴ければ早そうだが、ラス目の黒沢は5,200点以上の手を作る必要がある。役牌を暗刻にしてからのリーチやドラを使った打点作りなどが本線。