「骨は拾ってやるから」瀬戸熊の激励を胸に 本田朋広が無人の荒野を歩きだす【Mリーグ2022-23観戦記10/18】担当記者:ZERO / 沖中祐也

特に本田はそうすると思っていた。
ここまでの2戦、本田は2回ラスを引いている。

(なんでいつもこうなんだ… またチームに迷惑を掛けてしまっているじゃないか)

去年の本田なら、こう思って迷いの森に迷い込んでいたはずだ。
そして導き出されるは保留の選択、打【8マン】

しかし、今夜の本田は…

持ってきたジョーカー、【8ピン】をスッと切った。
この手牌は【8マン】【2ピン】をツモっても高め567の三色のテンパイになり、重要な受け入れだ。

それに下家はまだピンズを余らせていない。
踏み込むなら… 今だ!

「チー」

その踏み込みのおかげで、丸山はマンガンテンパイにたどり着いた。
そして本田の手元にも

テンパイとなる牌がやってくる。

ダマテンを選択すれば【4マン】【7マン】は拾いやすい。

リーチとダマでアガリ率の差は雲泥の差だ。

でも5800を拾うために踏み込んだのか?

リーチしてマンガンをアガればトップ目に立つことができる。
放銃したらまたラスを引くかもしれない。

――でも、勝負事ってのは…

そういうものだろう?

これが2ラスを引いた男の姿か。
解説の優も「今日の本田選手はふっきれていますね」と驚く。

ほんのちょっとのことなんだな…。
そう感じただろうか。

「ツモ」
本田の低い声が冷えた会場に響き渡る。

リーチ・一発・ツモ・タンヤオピンフ・赤・裏の6000オール!
本田は、噛まれた手をそのまま喉奥まで突っ込んでいくようなアガリでトップ目に立った。

背筋と手筋は曲げるな

強気の踏み込みで点棒をかき集めた本田だが、守るべきものができると途端に突っ込めなくなるのが麻雀の難しいところ。

しかし、本田はここからも攻めた。

流局を挟んだ東3局2本場

安全度がやや不安な手牌で役牌を一鳴きすると…

テンパイを果たした後、ライバルの親・丸山のリーチ一発に無筋の【9ソウ】を押していく。そして

値千金の1000点のロンアガリ。

ぼーっと見ていたらやられるだけ。自らの手で親を落としていくんだ。

師匠も驚いた魚谷の謎スルー

東4局、解説の優が驚いた場面があった。
魚谷である。

このドラの【3マン】を2回とも鳴かなかったのだ。

【中】後付けとなってしまうが、ドラ2~3の高打点が期待できる。
この牌だけは鳴きたいという超ネックにも見える。

魚谷もこの局を解説したいとツイートしているが、私なりに理由を考えてみる。

・親の渋川が手役を狙っている捨て牌からドラが切られて本物の可能性が高い
・本田も役牌からの切り出しから中張牌が余ったあと【3ソウ】【1ソウ】というターツ落としまで入っており、すぐにリーチが飛んできそう
・丸山も生牌の役牌を積極的に打っておりストレートに進めている

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