渋川会議
文・越野智紀【火曜担当ライター】2022年 11月 1日
第2試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
昨年までMリーグ公式解説者として人気を博していた渋川難波が、今年はMリーグの舞台に選手として登場しました。
その視野の広さや知識の深さに頭の回転の早さも合わさった解説を見てきたMリーグファンからは、試合でも大暴れする姿を期待されていましたが
ここまで5戦トップ無し。
まだ心配するような試合数ではないのですが1勝と0勝の間には気持ちの中では大きな隔たりがありそうなので、少しでも早く未勝利を脱出したいところ。
そんな渋川選手に序盤からチャンスがきました。
タンヤオ・ピンフ・赤・ドラ2の待ち。
ダマテンでも打点充分な手ですが
リーチを選択。
他家から見て自身の捨て牌は数牌が少なく、安全牌を選ぶのが難しい状況。
一打目のからを持っている可能性が高いと判断されればノーヒントの無筋よりもは出やすいという判断です。
これを受けての松本選手はチートイツのイーシャンテンで現物なし。
渋川選手の注文通りに松本選手からが切られて12,000のアガリになりました。
これを切っ掛けに初トップ奪取を目論む渋川選手でしたが、先頭を走る本田選手が全然落ちてきません。
Mリーグでは渋川選手の1年先輩で2年目のシーズンを迎えた本田選手は、昨年の苦労を糧に生まれ変わった姿を見せました。
南1局、現在3連勝中で個人ポイント首位に立つ好調松本選手から勝負手の親リーチが入るも
待ちに自信ありと怯まずに追いかけて一発でツモって1,300・2,600。
続く親番でもリーチリーチと攻め手を緩めない本田選手。
勝負局が多く、面白い麻雀でリードを広げていきます。
本田選手の攻撃を受けて「どうすればいいか解らなかった」と、渋川選手自身が振り返り反省したのは南2局1本場。
この局、渋川選手に何が起きたのか?
まず本田選手からリーチを受けて、イーシャンテンから通りそうだけど通ってない牌を押す価値がある手なのかの判断に入った渋川選手。
実はこの前局にも似たような状況があり、
その時は本田選手のリーチを受けた段階で、ドラがトイツの三色も見える好形・高打点のイーシャンテン。
本田選手はツモ切りリーチと何か不安を抱えている可能性もあったため、渋川選手の審査をクリアして通りそうだけど通っていないが押されました。
それでは今回はどうでしょう?
渋川脳内会議では切りと切りの二つの派閥に分かれていました。
好戦的な切り派の意見としては
「自分の手は前局と同様に打点充分で好形と価値のあるイーシャンテン」
「トップと24,500点差あるが、この手をツモるか直撃出来ればトップが現実的に見える」
「狙いはマンズで2面子1雀頭。ペンには興味はないが、引きの可能性を高く評価している」
いかにアガるかに集中している渋川攻める選手の読みは素晴らしく、が3枚とは2枚でとは全部山に残っていました。
この意見に対して保守的な切り派の意見は
「本田選手の捨て牌を見るとドラの切り出しが早く、の順番で内側からターツも払われていて前局と比較して良形率が高い」
「放銃するとラス落ちの危機がある現状2着目」
「たろう選手がを暗カンしたことで本田選手のリーチに放銃した時のリスクも上昇」
「ノーテンの状態からはアガれない。そこで通っていない牌を切るのは無駄押しになりかねない」
「攻めるさんの言う通り私もは高く評価しています。切っても引きはテンパイですよ」