「奇跡の逆転」が「当然」に変わる日まで……丸山の魔王討伐大冒険【Mリーグ2022-23観戦記12/2】担当記者:渡邉浩史郎

・形式聴牌

・寿人のツモ番を消す鳴き

のいずれかが予想されよう。丸山自身の聴牌ノーテンの収支を考えると、形式聴牌での【2ピン】プッシュくらいは許されそうだ。

そして問題の寿人。単純に考えれば寿人の河の【5ピン】の筋で丸山から三枚見えの【2ピン】、ほぼカンチャンにしか当たらない上に役牌もすべて切られている。ほとんど通りそうな牌だ。

しかし丸山を悩ませる要因。それは「タンヤオだとしたらブロックが足りない問題」である。

丸山の目から【5マン】【6ソウ】が全部見えている。ピンズも【6ピン】三枚【5ピン】二枚見えの上、瀬戸熊の【6ピン】切りを考えるとほぼこの辺りを持っていそう。そして寿人はノータイム【赤5ソウ】ツモ切り。

タンヤオ牌だけで手牌を構成している場合、かなり形が限定的なのである。

仮にタンヤオ以外の手役だとしても、カン【2ピン】待ちでないケースも当然ある。自身の確定聴牌での収入が大きすぎるため、鳴いた丸山だったが……

これが寿人の123三色に捕まる。

覚悟はしていたという表情の丸山。予想外の放銃というわけではなかったか。

さらに脇の強豪も黙っちゃいない。次局【東2局2本場】には茅森の一発裏裏跳満ツモで大きく水をあけられてのラス目。

しかし【東3局2本場】、遂に勝負手リーチが実る。こちらも跳満ツモだ!

さらに【南1局2本場】、ラス目瀬戸熊の超勝負手リーチに真っ向勝負しての大きな躱し。このアガリで一気に三つ巴の争いに名乗りを上げた。

【南2局】

ここでこの半荘唯一といっていい痛恨のミスプレー。三色見落としだ。

そして飛んでくるトップ目親の寿人からのリーチ。

それを受けての丸山の聴牌は激痛の【1ソウ】引き。拾える三色を逃した形になるが……

それでも丸山はリーチに踏み切った。

もちろんノーミスであれば三色もついて現物待ちダマテンに構えられたとの声もあろう。

しかし人はミスをするもの。ミスはミスとして終わった後に反省するとして、今目の前の手牌と状況への判断にぶれがあるようなことがあってはならない。

自身の親番が残っており、瞬間着ダウンはないこと。そしてここを躱せればトップに向けてかなり価値のある加点になることから、目の前の手牌はリーチであると丸山は判断した。

しかし最後まで立ちはだかったのは魔王。丸山を叩き落とす7700のアガリ。

最後まで心折れることない丸山、【南3局】マンガンツモで再び詰め寄るも……

最後は寿人がリードを生かして瀬戸熊に放銃。Mリーグ会場を魔王色に染め上げた。

寿人の勝利者インタビュー、第一声は長友よろしくの「ブラボー」。どちらかといえばドイツやスペインを超えてブラジルクラスのラスボスはあなたなのだが……

初年度は「奇跡」とまで言われた丸山の大逆転トップ。

しかし今日の打ち回しを見れば、丸山の大逆転トップが「当然」であると言われる日もそう遠くはないだろう。