ヘッズアップの攻防──! 本田朋広と二階堂亜樹の激戦のオーラス【須田良規のMリーグ2022-23セレクト・12月6日】

「なんでオリた──?」

EX風林火山の控室に戻った二階堂亜樹に、勝又健志は詰め寄った。

12月6日(火)第一試合、亜樹は2着で終了。

オーラス1本場の15巡目、南家の亜樹はこのイーシャンテンだった。

東家のTEAM雷電本田朋広が44900点のトップ目、亜樹は42500点持ちで2400点差の2着目だ。

本田は現状テンパイノーテンで亜樹と変わってしまうので、まずテンパイに向かう局面。

しかし実際はまだ本田はこの形。

本田のツモ番はあと3回しかなく、かなり厳しい手牌だ。

ところが亜樹は、このとき45秒くらいの長考の後、【北】を切ってオリに回ってしまう。

全体図を見て欲しい。

亜樹に余っている牌は【4ピン】【5ソウ】。しかも【4ピン】は自分から見て3枚目の牌になる。
この終盤──、本田の手は確かに【4ピン】【7ピン】受けと【2ソウ】【5ソウ】受けがある。

そして北家のU-NEXT Pirates鈴木優は役なしのダマテンが入っている。
優は本田と18800点差、亜樹と16400点差。
優はハネツモでも着順上昇がなく、亜樹とは16400点差なのでマンガン手はダマにしていることが予想できる。

亜樹の手はドラも赤も1枚もないため、本田と優の手に対する怖さは想像以上にあるだろう。

亜樹も残りツモは3回で、今【4ピン】を通し、【5ソウ】を通し、そして2400点差をまくるアガリが果たせるか。

確かにこの局面、平素の状況なら亜樹はここからの押しをしない気はする。
また、おそらくは本田がテンパイを目指して続行するのが当然であるからだ。

この局は、実際テンパイの厳しそうだった本田が優から2回のチーを入れてやっとのテンパイ。

正に亜樹の切れなかった【4ピン】【7ピン】【2ソウ】【5ソウ】を鳴けたギリギリのテンパイだ。
待ちは【4ピン】【7ピン】

優は役なしテンパイをしているので、このまま本田にはテンパイ続行をしてもらう必要があり、もちろん絞ることはない。
本田テンパイ、亜樹ノーテンなら2本場の次局はハネツモで同点トップになる。

そして亜樹はツモ【3ピン】でまた長考、手出しの【北】

(ツモは残り1回。【4ピン】は2度受けあるかもしれないしな・・・やはり切れないか)
亜樹の思惑はそんなところだろう。

本田が、亜樹の挙動を注視していた。

そして亜樹が最終手番、全員に安全な【1ソウ】を手出し。

ハイテイで優はドラ【7マン】を重ねて【2マン】切りのテンパイ継続。

そして本田は──。

手牌を伏せた。
亜樹のノーテンを読み、勝負のノーテン宣言だ。

素晴らしい。
確かに亜樹は長考の末、【北】のトイツ払い、最後の打牌も手出しの安全牌だ。

そうは言っても本田から見たこの河状況で、ウマオカ合わせて40pを失うかもしれないノーテン宣言はなかなか出来るものではない。
万一亜樹がテンパっていたら──、4万点のノーテン罰符になるのである。
これは牌譜だけではちょっと確信は持てない。
亜樹の挙動がキーポイントだったはずだ。

さて、本田のスーパープレイはさておき、亜樹が他家への警戒を一切せず、【4ピン】【5ソウ】も先切りしていたらどうなったか。

【2マン】【3マン】【3マン】【4マン】【4マン】【3ピン】【4ピン】【5ピン】【1ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【北】【北】 ドラ【7マン】

本田の2フーロの後にこのテンパイが17巡目に入る。
高めの【2マン】は目に見えてあと1枚で、2400点差だ。

リーチをするかどうか亜樹の選択はわからないが、おそらくダマテンにするだろう。

ピンフツモでも1本場で2400点差はかわすし、
本田からの直撃は【2マン】【5マン】どちらでもいい。

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