【EX風林火山 IKUSA観戦記】しゅもの #大三元 がプロの牙城を穿つ IKUSA準決勝は混迷の中に 文 #東川亮

ここで佐藤がBOOSTBITESを噛んでいたかは分からないが、

ここは噛んでいたことにしておこう!
噛んで集中、一発ツモ!
リーチ一発ツモ赤の4000オールで佐藤が逢川を逆転、そのままトップを獲得した。

第2試合結果
1位:佐藤孝行 +67.6
2位:逢川恵夢 +20.7
3位:早川健太 ▲10.2
4位:一瀬由梨 ▲78.1

■2日目第3試合

「白か黒か 一瀬由梨は勝利のために、恐怖の先へ手を伸ばし・・・」

各選手にとって、この日の2戦目が準決勝の折り返しとなる。まだ半分、しかしもう半分。いまだポイント差は大きくないだけに、今のうちに良いポジションにつけておきたい。

この試合は、逢川のものになる、はずだった。

逢川は東1局に一瀬から12000を出アガリ。勢いそのままに、次局は志岐のリーチに対してドラドラ赤赤内蔵の【2ピン】【5ピン】【8ピン】待ちリーチをぶつける。

そこにさらなる刺客が。しゅもがツモり四暗刻をテンパイしてリーチをかける。待ちの【5ピン】【3マン】は、いずれも山に残っていた。

しゅものツモ牌にあったのは、【5ピン】ではなく【2ピン】だった。

裏ドラが1枚乗って18000は18300。逢川は次局も満貫をツモり、東場の親番が落ちた時点ですでに7万点オーバー。そこから少し点数を減らしたものの、オーラス時には58300点持ち、リードは十分にあった。

そのオーラスで、しゅもが志岐の第1打【發】をポン。手牌には【中】がトイツ、【白】が1枚。

次巡、【白】がトイツに。ここで大三元を決めれば、状況は激変する。

【中】が鳴けた。高目大三元テンパイ。

切った一瀬の手牌はこう。トップは見えなくとも満貫をツモれば逆転、そして手牌は満貫の可能性を十分に秘めており、【中】を抱える余裕はなかった。

そしてテンパイ。ドラの【2マン】、あるいは【赤5マン】ツモなら2着浮上で試合終了、安目でも一発や裏が絡めばOKだ。そもそも、一瀬目線で見れば大三元の可能性はもちろんあれど、そうではないことも十分にある。なによりこれは短期決戦のIKUSA準決勝。一瀬はやや感情と力を込めて、テンパイ打牌【3マン】を横に曲げた。

一瀬としては、無に吸い込まれていく感覚だっただろうか。
勝負をかけた一発目のツモには、文字通り何もなかった。
そして、それを河に放つと共に告げられた声が、一瀬の視界を、希望を、白く覆った。

「ロン」

「48000」

しゅもの大三元が成就。役満なんて、そうそう出るものじゃない。それが一昨年のオーディションでも、そしてIKUSAでも飛び出した、この舞台で波乱が起きるのは、もしかしたら打ち手たちの並々ならぬ情念が目に見えない力を呼び寄せてしまっているからなのかもしれない。

第3試合結果
1位:しゅも +88.9
2位:逢川恵夢 +35.2
3位:志岐祐大 ▲41.5
4位:一瀬由梨 ▲82.6

■2日目第4試合

雀王・浅井堂岐の受難

2日目最終戦、各選手が半分の試合数を消化しようというなかで、IKUSAの大本命と目されていた浅井は7位に沈んでいた。これはファンからの支持率 1位という数字で獲得した50ポイントを含めての成績である。もちろん、ここまでは展開や手牌、ツモに恵まれていないことは多々あった。しかし、日本プロ麻雀協会の頂点・雀王として、このままで終わっていいはずがない。

だが、この試合でも浅井に吹く逆風は止まない。東1局の親番でのリーチ対決で佐藤に満貫を打ち込むと、その後は他者の高いツモアガリによる被害を被り、頭を下げて点棒を払う局が続く。

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