激動のオーラス、
こぼれ落ちた優勝
それでも村上淳は
前を向き歩みを進める
【決勝卓】担当記者:江崎しんのすけ 2023年6月18日(日)
麻雀最強戦2023骨肉の争い。
決勝卓に残ったのはこの4人。
予選A卓1位 村上淳
予選A卓2位 鈴木たろう
予選B卓1位 勝又健志
予選B卓2位 松ヶ瀬隆弥
この4人についてはもう説明不要だろう。
数々の放送対局で名試合を生み出してきた4人だが、予選ではそれぞれのチームメイトを撃破し、決勝へと勝ち上がった。
東4局
各選手の持ち点はこうなっている。
村上 :30,600点
たろう:11,400点
松ヶ瀬:34,500点
勝又 :23,500点
それぞれが1回以上高打点をアガり、抜き出て点数を持っている選手はいない状態。唯一放銃が続いてしまったたろうが20,000点を下回っている。
親番村上の配牌。
勝負所の親番で好配牌が入る。面子が2つ完成していて、他の形もかなりまとまっている。ドラのが使えなくとも、タンヤオがほぼ確定しているので打点も伴いそうだ。
しかし、配牌が良かったからといって簡単にアガらせてもらえるような卓ではない。
2巡目、松ヶ瀬が切った1枚目のに、たろうからポンの声がかかる。
4トイツで七対子も見える手だったが積極的に仕掛けていく。
まだアガりまでは遠いものの、自風のがトイツになれば・・対々和、ソーズが延びれば中・ホンイツ、全てが上手くいったときの・・ホンイツ・対々和・三暗刻の倍満など、高打点のルートは色々用意されている。
たろうが南家なのも仕掛けやすいポイントだ。
トップしか意味のないこのルールでは、親番でのアガりが非常に偉い。南家はポンすれば親のツモ番を1回飛ばすことができるし、下家にチーされると考えると親も自由には打てなくなる。
次巡、村上はドラのを引き打。シャンポンから埋まらなくともマンズが連続系なので好形変化が見込める。
すると4巡目、北家の勝又から先制リーチが飛んでくる。
リーチ一盃口のペン待ち。
勝又は前巡からを切り、三色・一盃口を狙った手順を見せた。好形ではなく打点にこだわっていることがわかる。
リーチのみで局を消化してはリードしている2人を楽にしてしまうだけ。ここは中打点~満貫をアガってトップ争いに加わりたいところ。
この、リーチ時点で山に1枚しか残っていなかったが…
同巡にたろうが掴む。
2巡後、村上が切った北にたろうがポンの声を掛けた。
前に出たということは孤立しているが放たれる、見ている誰しもが思った。
しかしたろうが放ったのは、なんとだった。
すぐ前にが通ったところなので、もも1筋勝負なのは変わりない。を切れば対々和のイーシャンテンとなるが、打点は2600~5,200点まで。対してを残せばリャンシャンテンになるもののホンイツ・対々和など跳満まで見ることができる。
それにしても先制リーチを受けたこの状況で、シャンテン数が進まないを打てるのはたろうオリジナルと言っていいだろう。
トップしか意味のない試合だからこその、まさにゼウスの選択を魅せる。
たろうの選択によりは打たれなくなり、山からが無くなる。
この選択で再びチャンスが回ってきたのが村上だ。
2巡後、を引きテンパイとなる。
を切れば待ちの平和ドラ2となるが、直前にたろうがを2枚切っているためが3枚見えになっている。ダマテンに構えれば5,800点が簡単に拾えそうだ。