アマチュア雀士16名の物語、思いが交差する場所【 麻雀最強戦2023 】 全国アマチュア最強位決定戦 観戦記【予選卓】担当 東川亮

 

C卓:若き力を、元最強位を退けた、北からの挑戦者

C卓の出場者は画像左から、つぉんが(天鳳最強位)秋谷恒輔(北関東最強位)小島レボリューション(近畿最強位)中山祥太(北海道最強位)。

序盤をリードしたのは、21歳の大学生である秋谷。

東1局、ドラのカン【4ソウ】待ちで思い切ったリーチをかけると、これをツモって満貫。待ちの悪さと役があることでダマテンでの変化を見たくなる打ち手もいそうだが、思い切った攻めが功を奏した。

だが、やはりこの男も黙ってはいない。かつてアマチュア最強位を獲ったこともある小島だ。

東2局、序盤から丁寧に手役を見ながら進行すると、高目チャンタのテンパイまでたどり着いてリーチ、高目でツモって裏1のハネ満は大きい。これで小島vs秋谷の構図が生まれる形に。

続いてはつぉんが。

東3局【發】【9ソウ】のシャンポン待ちテンパイでリーチ。どちらも1枚切れだが、特に【發】は前に出てくるならばほとんど止められない牌だ。

だが、そこに秋谷が思い切ったリーチをぶつける。ドラ表示牌のカン【7ソウ】待ちは、ドラ1とはいえ既に先手を打たれている状況では追っかけにくい。それを躊躇なくいけるのが、秋谷の持ち味。

たとえ愚形でも、山に残っていれば勝つ可能性はあるのだ。つぉんがが【7ソウ】を掴み、なんと裏裏で12000。秋谷旋風が卓上に吹き荒れ、このまま押し切ってしまうかのように思われた。

そこに待ったをかけたのは、北海道最強位・中山。

南1局、小島のリーチに対してホンイツドラドラという破壊力抜群の手で追っかけリーチ、高目のドラ【中】を小島から直撃して倍満、16000のアガリ。

オーラスの親番ではチートイツドラドラを再度小島から出アガリ。これで秋谷をかわしてリードを築き、そのまま逃げ切って勝利した。

 

D卓:アマチュア最強位、やはり強し

D卓の出場者は画像左から、ももたん(前年度アマ最強位)丼(最強戦リーグ最強位)並川貞行(南関東最強位)ばっさー(西東京最強位)。

東1局、いきなり丼が動く。

親の第1打【8ピン】をポン。残った手牌の形は明らかによくないが、本人いわく「まずは声を出したかった」とのこと。アマチュア勢にとっては大半が未知の舞台であることを考えると、自分らしく打てるようにあらかじめ準備しておくのは面白い試みと言ってよさそうだ。

試合の序盤をリードしたのはばっさー。

打点こそ低いものの、軽快に仕掛けながら細かいアガリやテンパイ料を積み重ね、少しずつリードを広げていく。

その展開に待ったをかけたのが、前年度のアマチュア最強位・ももたん。

東3局4本場。序盤でピンフのみのテンパイをダマテンに構えると、次巡にツモって400-700。リーチをかけておけばと思いたくなるが、ここはアガリによる親流しと供託回収を優先した形。打点よりも確実性を取るのが、アマチュア最強位を獲ったももたんのスタイル。

一方で、シンプルに打点を取りにいく状況では、しっかりとリーチで攻める。このあたりのメリハリが利いた打ち回しは印象的だ。大きなアガリはないものの、気付けばももたんがリードして局を進めていく。

南2局は並川が見事な手順を見せる。

形よりも打点を見た進行から、タンヤオピンフ、高目三色の形に手牌を仕上げてばっさーのリーチに対抗。

安目ながらしっかりとアガって、トップを目指していく。

アマチュア最強位決定戦は、100分+1局という時間制限がある。この日はどの対局も比較的長時間の戦いとなったが、この試合は流局も多かったことから、ついに時間制限に到達南3局2本場が最終局となった。

3人はそれぞれのやり方でトップを目指した。しかし最後まで、ももたんが一歩先を行ってタイムアップ。アマチュア最強位が連覇へ向けて、一つ駒を進める結果となった。

予選卓はそれぞれに質の違う、それでいて質の高い戦いが見られた。彼らがこれまでに歩んで来た、それぞれに異なる麻雀を通じた物語。それらが交差するのが麻雀最強戦であり、歩んで来た道のりが険しいからこそ、そこで繰り広げられる戦いも素晴らしいものとなる。ぜひ来年は、この戦いを見たあなたにも、最強戦に挑戦していただければと思う。この場所には、麻雀愛を注いで目指すだけの価値がある。

最後は実況を務めた日吉辰哉の言葉で、本記事を締めくくらせていただきたい。

「麻雀が大好き」そんな皆さま!

麻雀最強戦はあなたの挑戦を待ってるぜ!

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