堀慎吾、
『たられば』をねじ伏せる天才
【決勝卓】担当記者:東川亮 2024年4月14日(日)
勝負の世界、特に一発勝負の舞台では必ず、勝者と敗者が存在する。そして、いかなる巡り合わせであったにせよ、勝負の世界で相まみえた者の間には少なからず、運命によって結びつけられた関係「因縁」が生じる。
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麻雀最強戦2024「因縁の傷跡」は、最強戦を含め今日の麻雀界において生まれていたさまざまな因縁を再度結びつけようという大会。複雑に絡み合う糸のような関係性は、堀慎吾・石井良樹・浅井堂岐・内川幸太郎の4名による決勝の舞台を紡ぎ出した。
■「強引グ・マイウェイ」石井良樹のリーチ判断
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石井は東1局に浅井とのリーチ対決で満貫を放銃。早くも大きなビハインドを負っていた。
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次局は打点が必要な状況ながら、先制のカン待ちテンパイをダマテン。マンズのピンフ変化、ピンズのイーペーコー変化など打点アップの要素が残されているからか、石井は即リーチとはしなかった。
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次巡、ツモで500-1000は600-1100。アガリ自体はうれしいが、即リーチならもう2翻アップで満貫スタート、前局の失点の大半を取り戻せるアガリとなっていた。
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東2局にはわずか5巡でチャンタドラ、満貫のテンパイが入り、ここもダマテン。
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待ちのは山に残っていたが、自身が引く前に内川への放銃へと回った。
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この対局で、石井のアガリは東1局1本場の1回のみ。もし取り上げた2局で「強引グ」なリーチをしていたら、果たして結果はどうなっていたか。いわゆる結果論ではあるが、結果のみが求められるのが、一発勝負の麻雀最強戦である。
■「手順マエストロ」内川幸太郎の選択
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石井から2900をアガった内川だが、彼にも選択があった。
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2巡目、に加えてダブ
もトイツになり、高打点への期待感が高まる。ドラが
でソーズも多く、うまく行けば仕掛けてのホンイツでハネ満まで見える手だが、内川は
を切った。
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次巡にドラの引きでメンツ完成。だが、
を残していればソーズで2メンツ、ドラももう1枚受け入れられる形である。
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各者が同じ進行になっていたとするならば、こので發ホンイツドラ、満貫ツモとなっており、トップ目に浮上していた。
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そしてもしトップ目であれば、東2局1本場、浅井と堀の2軒リーチに挟まれた局面で、この1sを打ったか。内川には、浅井の現物で堀が2打目に切っているの外、
も選択肢にあった。
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結果は堀に一発放銃、12000は12300の失点。その後は追い上げを見せるも及ばなかった。
■「逆襲のヘラクレス」浅井堂岐の後悔
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南3局、浅井堂岐は考えていた。
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を暗槓しているもののまだノーテンで、内川のリーチを受けている状況。もちろん放銃は避けたいが、石井がノーテンで局が進むのも避けたい。絶対にオリない石井のことも踏まえ、考えていたのは石井をテンパイさせるためのアシストだった。
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浅井には、石井がチートイツからトイツ手に向かったことが読めていたという。そこで切る牌として、ポン材になり得るも候補としてあった。だが、追いかける内川の手が安いはずがなく、また親の石井がテンパイしている可能性も考えると、放銃すればほぼ敗退が確定してしまう。ここでオリを選択したことを、浅井は試合後に悔いた。
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石井は1シャンテンだった。そして、はポンできる牌であり、テンパイ打牌で切り出す
は内川のアガリ牌であるものの、内川はツモったところからのフリテンリーチだったため、放銃にはならなかった。
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三倍満条件で迎えたオーラスには一発とハイテイ、さらに裏ドラが絡めばというリーチをかけるも、実らず。浅井の最強戦は、ここで終わりを告げた。
■「小さな天才」堀慎吾の間違えない強さ
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「因縁の傷跡」を制したのは「小さな天才」堀慎吾。
内川からのハネ満直撃でトップ目に立つと、そこからリードを広げて逃げ切り。終わってみれば、まさに完勝だった。
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そんな堀にも、選択がなかったわけではない。東3局、を引き入れてピンフ高め一気通貫のリーチ。ただ、このときは
を石井がポンしており、高目は見た目で1枚しかなかったため、アガりやすさを考えて
のシャンポン待ちを選ぶ人もいたかもしれない。
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シャンポン待ちなら一発ツモ。しかし、堀の心は微塵も揺れない。待ち枚数にはそれほど差がなく、一方でリーチのみ1300とリーチピンフ一気通貫の8000では打点が大差だからだ。
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堀のリーチをつぶしに出た2番手の浅井から高目を捉え、8000の直撃。このアガリが相当に大きかった。