持たざる者、本田朋広が切り開く 雷電逆襲のサンダーロード【Mリーグ2024-25ファイナル観戦記 5/8 第1試合】担当記者 #東川亮

浅井は【4ソウ】を切った。少なくとも、太には当たらない牌。最終手出し【3ソウ】の本田に危ない牌であることは重々承知しているが、現状トップ目で、本田が【中】赤の2000点で太の親を蹴ってくれるなら、それはそれでOK。

【4ソウ】に、本田からロンの声がかかった。

開けられた手にはドラが雀頭、【中】ドラドラ赤の8000。

本田としては最高のアガリ、堂岐としては激痛の放銃。

「本田が勝つことを祈ったほうがよかった」

「チーム状況的に打ってもいいのかなと思ったけど、たぶん間違っていた」

試合後の、堂岐の弁だ。

それはリードによって生まれた、堂岐のわずかな隙だったのかもしれない。

 

■雷電に、失うものは何もない

加点した本田は、オーラスの親番を2着目で迎えていた。トップの浅井とは5100点差、十分に射程圏内。そして雷電の立場としては、取れるトップは全力で狙いにいかなければならない。

3巡目、本田は【1ソウ】【2ソウ】とペンチャンターツを外していった。残しておけば一気通貫もある形だが、受け入れが狭すぎる。この局のテーマは、とにかく先手を取ってアガりきること。そのために一番いらない部分をスパッと見切った。

6巡目に引いた【發】は、いったん手に留める。生牌で、自身が半端なところから鳴かせて相手の手を進めたくはない。

が、1シャンテンになれば話は別。最速テンパイを目指す以上、目いっぱいに構えてアガリを目指す。【發】に声はかからなかった。

ピンズが埋まったなら、もちろんピンフになるリャンメン待ちでリーチだ。

雷電としては、こういうチャンスを全てものにするくらいでなければ、優勝はないだろう。リーチをかけたら、あとはもうやることはない。

本田は願った。

「黒沢さん降臨しろ!」

 

黒沢と言えば、そう。

特技、ドラ引き。

高目のドラ【9マン】を一発でツモって、

裏1の6000オールは、まさに黒沢の「セレブ麻雀」

トップを手中に収めるのに十分過ぎる一撃だった。

TEAM雷電には、失うものなどない。

今シーズンに最も恐れていた、選手入れ替え規定によって失う可能性のあった「仲間」は、自分たちの力で守り切った。

そして、ファイナルのスタートポジションこそだいぶ遅れを取っているが、敗れた5チームにはない優勝の可能性が、彼らにはある。

だったら、それをつかみに行くだけだ。

 

「雷電の麻雀は?」

「おもしーんです!」

故郷の言葉が自然と口を突く。

この日を終えて残り10戦、ユニバースと歩むサンダーロードの果てに、彼らが追い求める栄光はあるか。

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