東3局
これまで手牌に恵まれなかった手塚に、ようやく好配牌が訪れる。3シャンテンながら、すでに1面子と雀頭、両面ターツが2つ揃い、234の三色も見える形。親番での反撃に期待がかかる。
そして、順調にツモを重ねて![]()
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の3面張でリーチ。点数状況を踏まえれば、ここは何としてもツモって連荘したい場面。山に7枚残っており、盤石のリーチという空気が卓上に漂う。
しかし、手塚がなかなかツモれない中、石田がペン
を引き入れて親リーチの現物であるカン
でイーペーコーのテンパイ。
を押してテンパイを取りにいく。
その直後、浅見が親リーチの現物である
をツモ切りし、これが石田への放銃に。イーペーコー・ドラ1の2600。石田が手塚のリーチを見事に交わす形となった。
先ほどの早川に続き、手塚も3面張のリーチが交わされる厳しい展開。負けている二人に、逆風が吹き続けている。
南3局1本場
南2局が流局となり迎えた南3局1本場。親の手塚は、ここを落とすと勝ち上がり条件が一気に厳しくなる。A卓では夫・佐々木寿人がすでに勝ち上がっており、夫婦対決の舞台を実現させたいところ。
親の手塚の配牌は
・
のトイツ。形は苦しいが、ホンイツや四喜和まで見える高打点の可能性を秘めた手牌。負けている状況だけに、ここはなんとしても活かしたい。
・
をポンして四喜和の芽を残しつつ進行。ドラの
や索子の伸び次第ではホンイツへの移行も可能。場合によっては
のみでも親を継続する価値があるため、派手な仕掛けで周囲の足を止めにかかる。
ここで四喜和は諦め、親の連荘にかける現実的な選択へ。どうしても一撃で決めたい気持ちはあるが、負けている時の親番は何よりも連荘が優先される。ギリギリまで夢を捨てきれない中での、冷静な判断だった。
手塚が連荘に希望をつなげるテンパイを入れる。待ちは![]()
。
しかし、早川の手も伸びる。
が4枚見えて![]()
の形が弱いため、
を外してタンヤオを確定させる。
そして早川がテンパイ。![]()
のノベタンか、![]()
の選択。早川の目から
が4枚見えており、
が使いにくい状況。親の手塚が掴んだ際に使い道がなく、放たれやすい
を含む![]()
を選択する。
その読み通り、手塚が
を掴んで放銃。リーチ・ピンフ・タンヤオ・イーペーコーの8000点。親番で勝負をかけた手塚だったが、現実の壁に阻まれる形となった。佐々木・手塚の夫婦対決の夢は、ここで遠のく厳しい展開となった。
南4局
迎えた南4局。厳しい展開が続いていた早川だが、南3局の8000点加点により、勝ち上がり条件まで残り8400点。ここで敗れれば、A卓の渋川難波とともに夫婦そろって敗退となるため、何としても勝ち上がりたい。
一方の浅見は、勝ち上がれば夫・橘哲也との夫婦対決が実現する。浅見が敗退すれば、まさかの決勝卓が“他人対決”になる可能性もあるオーラスとなった。
四者がなかなか手を進められない中、浅見は苦しい形ながら
を暗刻にしてリャンシャンテンに。
トイツが多く手が重い早川も
をポンしてリャンシャンテンへと進行する。
ここでイーシャンテンとなった早川に選択の場面が訪れる。打点を重視するなら打
でドラの
をギリギリまで引っ張る構えもあるが、![]()
のターツが埋まった際には、カン
や![]()
のシャンポンという厳しい待ちになってしまう。
一方、ドラ
を外せば、![]()
が埋まった際に![]()
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や![]()
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といった広い受け入れが残る。
ただし、ドラ
を放つことで副露している早川からリーチが無いので打点が低くなる。そのため、浅見や石田から役無しリーチでアガリに向かわれるリスクが高くなる。
それでも早川が選んだのは、アガリやすさを優先する打
。勝ち上がりへ向けて、現実的な一手を選び取った。
その直後、浅見に![]()
のシャンポンテンパイが入る。親の早川は
をポンしており、役牌もすべて場に見えているため、役はタンヤオやトイトイが考えられるが、ドラ
を外していることから、ドラ
を暗刻から1枚外しての雀頭の可能性は低い。タンヤオ・ドラ1の2900が濃厚。また、石田からの
差し込みも視野に入る。仮にトイトイで早川に放銃してもオーラス続行で敗退は確定しない。ここで決めに行く方が優位と判断し、浅見はリーチに踏み切る。
早川もテンパイ。
と
の比較では、
は2スジ通っておらず、
を外せば
や
を引けばトイトイへの変化も見込める。危険牌の
を引いた際には暗槓で回避できるため、早川は
を選択。
しかし、その
が浅見への放銃に。リーチ・ドラ1の3200。
見事に浅見と石田が勝ち上がりを決めた。
東場では、3面張のリーチがことごとく交わされる展開が続き、一打の選択が持つ重みが際立った。特に早川は、東2局でのドラ3の勝負リーチが交わされたのが痛手となり、勝ち上がりへの道を大きく遠ざけられる結果となった。
手塚は、終始苦しい配牌と展開に見舞われながらも、最善の形を追い求める粘り強い打ち回しを披露。しかし、決定的なアガリには結びつかず、流れを変えるには至らなかった。
石田は、東1局1本場で
をスルーしてホンイツに仕上げた一局が圧巻。冷静な判断と構想力が光り、卓上を支配する存在感を見せた。
浅見は、Mリーグという大舞台での経験を活かし、終始落ち着いた立ち回りを展開。要所でのリーチ判断や押し引きのバランスも見事で、南4局での勝ち上がりを決めたリーチは、覚悟と読みの深さが表れた一打だった。
そして浅見真紀は、夫・橘哲也が待つ決勝卓へと歩を進めた。
一方、石田亜沙己は、猿川真寿の敗退を背に、己の力で勝利をつかみ取った。
卓上に刻まれた一打一打が、それぞれの物語を静かに紡いでいく。

麻将連合所属。キャッチフレーズは〝ミスター赤シャツ〟。
平日は情報通信関連の株式会社エネコムに勤務し、週末は麻雀活動に全力投球。広島で『いきいき健康麻将風鈴』で麻将連合『μ道場』の運営を担当。麻雀最強戦2025「政権抗争勃発」に出場し決勝卓に勝ち進むも、滝沢和典への国士無双放銃で散った。

















