佐々木寿人はチートイツに決め打った 前原雄大に届けた一回忌のトップ【Mリーグ2026-27 観戦記 10/12 第2試合(麻雀2ch)】担当記者 うめきち

新宿の雀荘に、ものすごく強い打ち手がいた。それを見つけて、プロの世界に誘ったのが前原だった。

もしあの日、前原が声をかけていなかったら。私たちは今、こうして寿人の闘牌を見ることができていない。

前原は寿人にとって大事な恩人である。そして同時に、寿人の麻雀を見られる私たち視聴者もまた、前原の恩恵にあずかっているのだ。

私はこの日、そのことを何度も噛みしめながら画面を見ていた。

 

南1局 チートイツに決め打つという勇気

親番の南1局。寿人は途中で、チートイツに決め打った。

決め打ちとは、他の道を自分の手で閉じる行為である。メンツ手に戻る道、鳴いて形を整える道。それを全部捨てて、七つの対子だけに懸ける。外れれば、あのとき別の道を選んでいればと悔やむことになる。

白鳥のCMの台詞が頭をよぎる。「本当に後悔しないかどうか」。寿人は、後悔するかもしれないという可能性ごと、決めに行ったように私には見えた。

さらに選択は続く。【5ソウ】か【9ピン】か。

【赤5ソウ】は赤だ。赤に目が行くのは人間の性である。それでも寿人は赤に惑わされず、山にいそうな【9ピン】に懸けた。

「ツモ」

リーチツモチートイツドラドラ、6000オール。これも山1のラス牌だった。

寿人の打牌が速いのは、迷っていないからではない。迷う作業を、手を進める前に済ませているからだと私は思う。この6000オールは、その積み重ねの結果だった。かなりトップが濃厚になる、磐石の一撃である。

 

南2局 揺れない男が押した5p

6000オールで一気に抜け出した寿人。一方、ラス目の園田は黙っていなかった。親番で小四喜をチラつかせて牽制し、巧みな鳴きで場を支配していく。

その仕掛けに向かっていったのが白鳥だった。白鳥は満貫をテンパイしていた。そして【5ピン】を押した。

園田へ放銃。

アガれそうな白鳥が放銃し、アガれなさそうな園田がアガる。なんとも変な局になった。結果だけ見れば、白鳥の負けである。

だが私は、あの【5ピン】を悔やむ必要はないと思っている。「その牌を切ってあとから自分が見返して本当に後悔しないかどうか」。満貫テンパイから、仕掛けに対して押す。見返したとき、あの【5ピン】は切る牌だった。

揺れないと語った男は、揺れなかった。放銃という結果を引き受けて、なお揺れなかったのだ。押す勇気とは、そういうものだと私は思う。

 

南4局 前原に見せたトップ

南3局は寿人がダマテンで黒沢から3900。

園田がリーチをかけていたので、白鳥にとっては横移動で助かった一局だった。

そして南4局。親番の黒沢が鳴いて前に出る。

黒沢の鳴きは珍しい。この試合の黒沢は、自分の麻雀のイメージを変えようとしているのかもしれない、とさえ感じた。

しかし最後は、寿人がまたもやラス牌をツモって、トップを確定させた。

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