尻無濱航が今季初役満!
国士無双炸裂でヴァースも満タン
文・香川さにい【金曜担当ライター】2026年10月16日
第1試合
東家:尻無濱航(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
西家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
北家:三浦智博(EARTH JETS)
実況:襟川麻衣子 解説:石橋伸洋
麻雀の華といえば、やはり役満だろう。多くのMリーグファンが待ち望んだ今季第1号の役満が、ついに飛び出した。アガリを決めたのは、注目のホープ、尻無濱航だ。
依然として首位を走るサクラナイツだが、直近は5試合連続で逆連対を記録。ここまで6連対と好調を維持していた航も、前回の登板では3着に終わり、初のマイナスポイントを喫した。チームメイトの堀も「ヴァース切れを起こしている」と嘆くほど、チームには暗雲が垂れ込めていた。
そんな苦しい状況で迎えたこの一戦。くしくも国士無双撲滅委員会の石橋が解説を務める中、航の国士無双が華々しく炸裂した——。
朝倉、腕でつかんだ満貫ツモ!航を振り切りトップ争いで一歩リード
東場は、浅見から満貫の出アガリを決めた朝倉がリードを奪い、巧みなゲーム回しで主導権を握った。他の3者が追いかける展開で迎えた南1局。親番の航に、ピンフが見込めるドラ3の好配牌が舞い込む。チームに再び勢いをもたらすためにも、ここでアガリを決め、トップ目の朝倉に並びたいところだ。
わずか2巡で、航が早くもテンパイ。絶好のカン
を引き入れ、![]()
![]()
待ちの三面張で親の先制リーチに踏み切った。
をポンして2向聴だった浅見だが、浮いていた
を重ねて食らいつく。持ち点が大きく沈んでいるだけに、南場での巻き返しを狙いたい。
浅見は立て続けに
をツモり、テンパイに追いつく。航の当たり牌を吸収し、暗刻にしてしまうという珍しい事態となった。
それでも、航の待ち牌は山に6枚も残っている。やがて浅見が
をつかむと、これを止められず放銃。リーチピンフドラ1赤1の満貫、12000点のアガリを決めた。これでトップ目の朝倉に肉薄したかと思われた。しかし、朝倉の牙城はそう簡単には崩れない。
続く南1局1本場。朝倉らしい面白い一打が飛び出した。一見すると浮いている
に手がかかりそうだが、朝倉の選択は
切りだった。ここで、
と
を比較してみよう。
切りのメリットは、テンパイチャンスの多さだろう。
切りでは受け入れられない![]()
と
の受けを残すことができる。しかし、今回は
がすでに1枚場に見えており、
もドラ表示牌だ。そして何より、テンパイ形がカン
となる点に不満が残る。
それならば、
を切って手をほぐし、一通や良形への変化を残す方が得策に思える。一貫して手を育てる打ち回しを見せていた朝倉だが、こうした細かな判断の積み重ねが、彼の強さにつながっているのだろう。
裏目となる
を引いた朝倉だが、
を切って手を組み直す。仮に先ほど
切りを選んでいたとしても、この点数状況ではカン
待ちでリーチには踏み切りづらい。そう考えれば、今回の
ツモも大きな痛手ではない。
しかし、親の航から再び先制リーチが飛んでくる。待ちは宣言牌のスジにあたるカン
。このままリードを奪われるわけにはいかない朝倉に、勝負の局面が訪れた。
を引き入れ、カン
受けがリャンメンに変化しており、好形でのテンパイが確定した朝倉。トップ争いを繰り広げるライバル相手に、やすやすと引き下がるわけにはいかない。一発目にもかかわらず、無スジの
を力強く勝負していく。
攻めの姿勢が実を結び、
を引き入れてテンパイに追いついた朝倉。現物の
を切って追っかけリーチに踏み切るかと思われたが、選んだのは
切りリーチだった。わずかながらも放銃の可能性があるだけに、意外な選択となった。
しかし、下家の浅見は親のリーチに対し、通っていない
や
、
を押している。こうした動向を踏まえ、浅見に鳴かれることを警戒したのだろう。朝倉の丁寧な打牌からは、日頃の研究の跡がうかがえる。その緻密な判断には、つくづく感服させられる。
ちなみに、浅見の手には確かに![]()
の受けがあった。
そして次巡、朝倉が鮮やかに一発ツモ!リーチ一発ツモピンフドラ1の満貫をアガリきった。まさに朝倉が、腕でつかみとった大きなアガリである。ライバルの航に親被りをさせ、その差を再び大きく広げ自身の親番を迎える。しかし、ここで事件がおこる——。
震える手でつかんだ国士無双!航が第1号の役満達成!
南2局。朝倉に満貫の親被りをさせられた航が、今度はその倍の倍となる4倍返しでやり返した。今季初の役満を飾った航の配牌がこちら。もうおわかりだろう。国士無双である。9種10牌の手を授かった航は、
、
と切り出して国士無双へ一直線。
、そして
を引き入れ、5巡目にして国士無双の1向聴となる。航からドラの
が切り出されたことにより、場がざわつき始めた。ドラを切るということは、ある程度手が進んでいるのだろうか。次にヤオチュー牌が余れば、いよいよ危険信号だ。卓上の面々が思案する。
国士無双撲滅委員会の石橋も「もう嫌だよぉ。こんなの見るの」「やめてよもう。かわいそうだよこんなの打つの」「うわぁ怖い」と戦々恐々。かつて味わったトラウマが蘇る。
しかし、航のテンパイに必要な
と
は、合わせて山に7枚も残っている。テンパイはもちろん、アガリまでもが現実味を帯びてきた。
とうとう
を引き入れ、テンパイ。
を縦に置き、ダマテンに構える。待ちは
。残り3枚である。国士無双は、13種のヤオチュー牌すべてが待ちの候補となりうるため、一点読みで警戒することが難しい。そのため、思わぬタイミングで待ち牌が打ち出される可能性もある。
を引き、
を切り出す。次々と手からヤオチュー牌が打ち出され、場の緊張はピークを迎える。牌を切り出す航の手は、わずかに震えていた。その姿からは、ただならぬ気配が漂ってくる。どれだけ麻雀を打ち続けてきたとしても、この大舞台で味わう緊張感はやはり特別なのだろう。それは、この卓で戦う者にしかわからない。
そして、ついに——。航が
をツモり、アガリを決めた。緊張からか、ツモった
が手元で転がる。8000、16000。その発声がスタジオに響き渡った。デビューから8戦。風雲児としてMリーグで躍進する航が、この大舞台でやってのけた。今季初の役満の瞬間である。










