優勝の方程式を知るドリブンズに立ちはだかる、軍師・勝又健志という壁【熱論!Mリーグ/FS第15節】

熱論!Mリーグ【FS第15節】

優勝の方程式を知る

ドリブンズに立ちはだかる

軍師・勝又健志という壁

文・阿部柊太朗【FS第15節担当ライター】2019年3月23日

 

試合開始前、鈴木たろうは控室のボードに数字を書き出した。

たろう「決定戦ならこんな感じだよね」

ファイナルシリーズはレギュラーシーズンのポイントを持ち越して行われたため、スタートのポイントがずれている。基準を0として書き直すと上記のようなポイント状況になる。

つまり普段打ちなれているタイトル戦の感覚に近づけたわけである。

「タイトル戦に打ちなれているなんてそんなやつがいるのか!」とツッコミを入れたくなるところだが、団体内の最高タイトルである雀王決定戦に8期連続で出場し、うち4期優勝していると言えば納得していただけるだろうか。

さてこのポイント状況、上下に多少離れたイメージもあるが、こうなるとどういうことが起こるのか、たろうはよく知っている。

優勝に大きな価値のあるタイトル戦では、単純に目の前の損得ではなく、優勝に向けた損得で判断する必要がある。

つまり自身にとっては得ではないものの、優勝ポジションにいる赤坂ドリブンズにとって損になる選択が行われる可能性があるということだ。

さて、こちらは寿人の手牌。チートイドラドラ赤のテンパイ。あなたなら何を切るだろうか?

私ならを切って単騎でリーチをかける。河は多少派手になるが、リーチでも十分に出アガりが見込め、の場況も悪くはない。

しかし寿人の選択は切りダマで単騎を選択。

『イレギュラーな選択には必ず理由がある』

麻雀を見る全ての人に意識していただきたいことだ。あれ?変わった牌を切ったな?と思ったその先には、何かしらの理由がある。

そして今回の選択の理由は…

恐らくこれだろう。

村上が切った6巡目の。そう、ドリブンズの村上がツモ切るであろう牌に照準を合わせている。自分の微妙な損を背負ってでも、寿人はドリブンズからの直撃を狙った。

そしてまさにその狙い通り、村上から5sが放たれた。これからはこういうことがずっと続く。おじさんたちの胃に穴が開かないものか心配である。

しかし、この状況から脱却するための手段がある。それは

”突き抜けてしまうこと”だ。

Mリーグは2位・3位・4位にそれぞれ別額の賞金が用意されている。これはつまりMリーグ機構側から「優勝以外にも、1つでも上の着順を目指して打ってくださいね」というメッセージでもある。

そういった設定がされている以上「もうあのチームには届かない」と思わせてしまえば、集中的に狙われる立場から逃避できる。

そしてこの13/24回戦、村上は寿人に手痛い8,000点を放銃しながらも、終わってみれば8万点トップと大爆発。

そしてその結果、ポイント状況は以下のようになった。

ドリブンズは突き抜けた。特に3位の格闘倶楽部、4位のABEMASは残り11試合で500pt近い差を埋めなければならない。プロとして本当に苦しいところだが、現実的な判断を迫られる。

14/24回戦のオーラス、ドリブンズと風林火山が激しいトップ争いを繰り広げているところ。現状3着目の松本は待ちの一気通貫・赤・ドラ、8,000点のテンパイ。

もしドリブンズがもう少し近かったなら、もし現実的に優勝を狙えるポジションにいたのなら。自分の4着落ちのリスクを背負ってでも、ドリブンズからだけアガる…なんていう可能性があったかもしれない。しかし、もう一度よく状況を確認してほしい。

この差である。そしてさらにこの試合のポイント状況も反映されることを考えると、

“自身の半荘の期待値を最大化すること”

が最も優先されるべき事項であることは間違いない。

そしてその場合、取るべき選択は1つ。ダマテンに構えて誰からでもアガることだ。

松本は滝沢からが出て、そしてアガった。勇気あるクレバーな選択だ。

ドリブンズはこの試合もトップで2連勝、さらに突き抜けたことで、少し楽な展開になるかと思われた。

しかし立ちはだかったのはこの男、EX風林火山、勝又健志

勝又、東2局の親番。なんと2巡目にチートイツドラドラのテンパイ。

ずりぃ~~と言いたくなるが、

「例えば~せっかくズルい手を貰ったのなら、ちょっと贅沢してみようかな。なんていう考えもありますよね」

と勝又は考えたはずだ。

「例えば~いつもなら単騎でリーチを打ちたいところですけど、ダマテンに構えて。たろうさんからの直撃を狙ってみたりするのも、1つの手ですよね」

と考えただろう。

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