このような河になる。さらにここでの打は、効率を多少落とすことと引き換えに、ドラそばのに続いて真ん中よりの数牌を余らせることで速度感を演出しているとも言えよう。
この打に対して、
(あれっ…沢崎さん早いかも…)
というように、場況に敏感な滝沢が反応していたように感じられた。
一方、沢崎は悪い手のときも
(④の手。2戦目 東3局2本場)、
いたずらに役牌を抱えたりせずに素直に字牌や端牌から切り出していく。
そして、
中盤に差し掛かろうとするときには、将来不要になるであろう牌を先打ちしてスリムに構えるのである。字牌を3つ抱えながらも、456の三色やタンピン、ドラ受けのルートはいずれも残してある。
これは河に注目する範囲を10巡目まで広げたときにも言えることなのだが、中盤に放つ沢崎の中張牌は手が良くて余ってきたのか、はたまた守備的にスリムにしているのかが本当にわかりにくい。我々は沢崎の手が見えているから河のオーラを感じるのが難しいが、同卓者にとっては相当やりづらいだろうという想像がつく。
この沢崎の河の情報を受けた滝沢、
ここで小考。
滝沢が切ったのは、
であった。仕掛けも効く789の三色が本線のこの一打だが、手が進まなかった場合に沢崎の安全牌であるを手におきながら進行する狙いもあったように思う。
沢崎がスリムに受けるシーン等で受け入れ枚数などの効率をいくらか落としていることは確かだろう。しかし、それと引き換えに守備力や読みづらさといった、長いリーグ戦を戦う上でのメリットを手にしているのではないだろうか。
このほかにも、様々な引き出しを持っている沢崎。1戦目の闘いぶりを追いかけながら、その技術の深淵に迫っていきたいと思う。
1戦目
実況:小林未沙/解説:土田浩翔
東2局
トップ目の親番白鳥にチャンス手が入る。
白鳥は打とした。
Mリーグ放送での土田の解説は、
『打つと思いますけれどね…』
『うわっ!!!!』
と大声で叫んだあとに、
『どうなんでしょうねこれねぇ…この選択はどうだったかなぁ白鳥…』
と続いた。
お茶の間に分かりやすい単語や、親しみやすい独自の理論を用いて麻雀界の解説第一人者となっている土田。私の尊敬する解説の一人だ。以前この【熱論!Mリーグ】で特集記事も書かせていただいた。
しかし、この場面もそうだが、この日はほかにも持論によって選手の選択を批判するシーンが目立ったように思う。
例えば、
東3局、沢崎のダブトイツ落としのリーチを受けた丸山の、この打も
『ぐらいは、行って。切っちゃダメなんですよ あぁ』
と解説した。
持論も解説者の話の中で必要な時はある。しかし、解説の役割で重要なのは、試合中の「選手の選択」の解説だと思う。このような批判は、なかなか自分の選択を言葉で伝えることが出来ない選手や、当該選手のファンにとっては、やりきれないのではないだろうか。
もちろん、時間内にプレイヤーの意図をすみずみまで拾いきるのは至難の業だし、難しいというのも痛いほど分かる。ただ、選手の意図をもう少し掘り下げて解説してくれると理想的だな、と感じる。
「のポンテンを逃さないようにを残しつつ、を第2打に切っている人が二人いるので、門前リーチ時とポンテン時の待ちとしてに狙いを定めて先にスジを作った」
のが白鳥の考えで、
「愚形残りでとが浮いているこの手からは、好形が予想される親のリーチにはを2枚切ってまわる」
のが丸山の考えであろう。
さて、東2局に戻って、