南3局に移る。親の魚谷がドラ3のチャンス手を得た。
厳しい状況の沢崎も早々にイーシャンテン。配牌時でこれは盛り上がる。
勝又プロ「ただね、沢崎さんは点数が少ないので、純チャンとか、索子の一気通貫とか。筒子のを持ってきての三色だとか、そういう手を目指したいですね」
小林アナ「赤引きとか」
勝又プロ「赤引きもいいですね。リーチ平和とかではちょっと物足りない局ではあります」
トップ目の前原もこの整った手格好。引いてきたのは。
石橋もイーシャンテンの手。全員に勝負手が入っていた。
こうなると序盤から激しくぶつかることが予想され、状況を理解するのが大変そうに思える。しかし解説者はひとつひとつポイントを押さえて解説していく。
沢崎がカンのテンパイを入れた。ここでリーチをしないのは前述の解説通り、もっといい形を目指してのものだ。
魚谷に4枚目のが来る。ドラ3も、ドラ4も打点は一緒の満貫だ。いらないようにも見える。しかし魚谷は打とした。
勝又プロ「これチーをしてを切ったら『誰も暗刻とは思わないでしょ』作戦ですよ」
小林アナ「確かに!」
勝又プロ「面前でとか引いちゃったらカンをして、ドラ4裏とかで倍満の8000オールを目指そうという両狙いですね」
なるほどなるほど。その作戦は使えそうだ。単純に勉強になる。
この後、前原が苦しかったペンを引き、のダマテンを入れる。ダマテンの理由についても、もちろん説明してくれる。
勝又プロ「「3900のアガりでもオーラスで石橋さんの満貫ツモ圏外になるってことですね」
小林アナ「石橋と1万点以上の差をつけたいところです」
と、そこに噂の石橋がパンチを入れる。との待ちだったところにを引いて両面のリーチ。ただ、よく見ると三色ではないし平和でもない。
勝又プロ「追いかける立場としてはもう一翻欲しいんですけど……っていうところもありました」
小林アナ「リーチして裏でも乗れば」
勝又プロ「(石橋は)かわすって考えてますよ」
を持ってきた魚谷。ここでをカンした。素人目には「親だし手が高いから攻めたんだな」と映る。そこにもうひと味もふた味も加わるのが解説者の視点である。
勝又プロ「1回でも多くツモろうと。しかも石橋さんの手を高くしたので、前原さんとかに『もうオリたほうがいいんじゃないですか』と言っていますね。カンしてもイーシャンテンのままで相手にも警戒されちゃうんですけど、一番チーしたい上家の石橋がもうリーチしてて、警戒することができないというのもありますね」
そ、そこまで考えているのねあの数秒に。プロは凄い。
結果は前原が石橋のを捕らえて8000点(を道中で手にし、裏ドラが乗った)を加点した。本日の前原はきっちりと攻めてきっちりと守っていたように見えた。メリハリのある打ち回しで、好調を感じさせた。
オーラスを迎えた。解説者は各自の得点状況を教えてくれる(4人分なので難しいのです)。
勝又プロ「石橋さんはトップまで26600点差。ということは跳直、倍ツモもダメなので2着キープ狙いになりますかね。魚谷さんと石橋さんの点差は13900点で、跳満か満貫直撃で2着。沢崎さんは親なので連荘狙いですね」
勝又プロ「できればツモアガりがいいんですよね沢崎さん。全員の点差が詰まるんですけど、もし石橋さんが直撃しちゃったりすると、2着争いが混戦になって早アガりされちゃう可能性も出てくるので。ただね、そうも言っていられないところがありますからね」
やはり親の沢崎は何でもアガってくることが予想される。ラス親の連荘ほど他家にとって息苦しいものはない。石橋は上図の手格好。のトイツが心強い。
すぐにが鳴けて打。
勝又プロ「これは石橋さんとしてはもう自分でドラ()も切っていますし、『2着でいいんです』と。ということで『前原さんチーさせてください』っていうのもありそうですよ」
小林アナ「前原と協力体制を築いてこの試合を終わらせようという考えか」
勝又プロ「ただそれに乗っかるのかわからないですけどね、前原さんが」
前原はを引いて、これをツモ切り。
勝又プロ「とりあえずを切るのは『ここで自分が満貫アガれば8ポイント得ですから』という戦い方ですよね」
石橋、これを見て手が止まる。
勝又プロ「石橋さんとしては『あれっ、チーさせてくれないんだったら話は変わります』みたいな長考ですね」
小林アナ「鳴かせてくれないのかなってことですよね」
勝又プロ「そうすると、魚谷さんとか沢崎さんの安全牌とのバランスを考えながら進行しなくてはいけなくて……」
選手たちの心境がわかるとさらに面白い。この石橋の長考は、まさに勝又プロの解説通りに見えた。ちなみに勝又プロが前原の立場だったら「石橋さんお願いします」派とのこと。これも各選手の特徴が見られて面白い。
自力で終わらせにかかった前原。待ちのリーチをかける。
こちらも自力でテンパイを入れていた石橋。無筋のを持ってきてツモ切り。