変わりゆく条件の中で
二盃口を決めた茅森早香の
長い長いオーラス
文・東川亮【木曜担当ライター】2021年1月7日
麻雀を打つ中で、最終局「オーラス」はいやがおうにも他者を意識せざるを得ない状況となる。
自分の持ち点と相手の持ち点を踏まえ、何を狙って手を組むか、あるいは組まないか。
また、親の連荘で点数状況が変われば、その都度選択も変わってくるだろう。
大和証券Mリーグ、1/7の第2回戦オーラスでは、各者の思惑がぶつかる激しい戦いが繰り広げられた。
第2回戦
東家:沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:石橋伸洋(U-NEXT Pirates)
西家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
オーラスのことを書く前に、Mリーグ史上初の一撃が決まった局には触れておく必要があるだろう。
南2局。
茅森の手牌はドラドラ赤、仕掛けてタンヤオでの満貫がはっきりと見える形だ。
7巡目にはを切り、1牌たりとも逃さない構え。
しかし9巡目、石橋から打たれたドラには声をかけなかった。
ここからドラを鳴くとたしかにシャンテン数は進むが、その後の形はやや不自由になる。
他にも動けるパターンが多数ある手、門前でじっくり構えて、良形を作っていこうという判断だ。
この判断が、最高の結果へとつながった。
と有効牌を立て続けに引いてテンパイ、待ちをヤミテンに構えると、石橋が手の内で使えないをツモ切り、茅森がロン。
タンヤオ平和二盃口ドラドラ赤、リーチをかけずとも倍満という超大物手が決まった。
なお二盃口(一盃口を2つ作る役・3翻)は、3シーズン目を迎えるMリーグにおいてこれが初めての出現となる。
今シーズンの茅森は加カンされた牌をロンする「チャンカン」をMリーグで初めて決めて話題となったが、それに続く超レア役でのアガリとなった。
さて、オーラスを迎えた段階で点数状況は以下の通り。
トップ:茅森 50500
2着目:沢崎 17100
3着目:石橋 16400
4着目:松本 16000
茅森は非常に大きなトップ目であり、親の松本が連荘しなければトップは堅い。
そして沢崎から松本までは1100点差、沢崎と石橋はアガりさえすれば2着で試合を終えられる。
早い決着が期待される状況は、茅森にとっても悪くない。
ベストは自らのアガリだが、自身が放銃して試合を終わらせる考えもあっただろう。
沢崎が早々にをポン、役をつける。
松本もを暗刻にするが、そこで打ち出されたも沢崎が鳴ける牌だ。
一方の石橋。
アガリには向かいたいがリーチを打つとその瞬間4着目に落ち、場合によってはそのまま試合が終わってしまうこともあるため、リーチはかけたくない。
少考してという切り出しは、自身の役ありテンパイを目指すと共に沢崎への放銃も警戒する、慎重な選択だ。
親で4着目の松本に関しては、このまま終われば4着のため、思い切って攻める必要がある。
カンテンパイ、役ありではあるが当然のリーチ。