チームの危機を救え!
ドラを切り、ドラを使って
活路を開いた船長・小林剛
文・東川亮【月曜担当ライター】2021年2月1日
大和証券Mリーグが始まってまだ3シーズン目だが、Mリーグを見続けている方は既にお気づきだろう。
初年度優勝の赤坂ドリブンズ、レギュラーシーズン1位のEX風林火山は翌シーズン共にレギュラーシーズン敗退。
そして現在、2年目で優勝したU-NEXT Piratesは最下位に沈み、レギュラーシーズン1位だったセガサミーフェニックスも7位と微差の6位と敗退がちらつく位置となっている。
「前年度好成績のチームは沈む」
相関関係は不明だが、嫌なジンクスが生まれつつあるようだ。
しかし「彼」はそんなことなど気にも止めないだろう。
ただ、チームがここ数節自身を連続起用している意図については痛いほど理解しているはず。
U-NEXT Piratesの船長・小林剛は、卓につく前に深々とお辞儀をした。
その姿は、この場にいないある人物を彷彿とさせる。
2月1日 第1回戦
東家:沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:前原雄大(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
序盤は小林にとって苦しい展開となった。
東1局から流局での親流れが2局続くと、東3局2本場はイーシャンテンから打ったが日向に捕まり、2000は2600の放銃。
次局も片アガリの三色テンパイから前原に2000を放銃。
南1局の一人ノーテンで開局から5局連続の失点となり、持ち点では少し置いていかれてしまった。
南1局1本場。
日向は好形のリーチが打てそうな牌姿。
沢崎は七対子に向かい、仕上がれば高くなりそうだ。
小林も少しずつ手を進めるが、2巡目に引いたドラがずっと孤立している。
できることなら重ねて打点の種としたいが、使えないまま引っ張り過ぎて手遅れになる、あるいはオリにまわらされることもあり得るために扱いが難しい。
先制は沢崎、待ちの七対子でリーチ。
直後、日向もドラを重ねてテンパイ。
親リーチを受けているとは言えドラドラ赤はGOサイン、無スジを勝負して満貫以上確定の追っかけリーチだ。
さらに小林もテンパイするが、ドラのは最後まで重ならないまま浮いてしまった。
日向と違い、こちらは現状平和のみと打点の上では心許ない。
加えて待ちのは、すでにが3枚見えてしまっている。
ただでさえ点数を減らしている状況。
役牌のドラで放銃となれば、通ったとしても最終的に放銃してしまったならば、かなりの確率でこの試合を4着で終えることになるだろう。
そうなれば、チームはさらなる窮地に追い込まれることになる。
しかしオリたとしても、沢崎か日向にアガられてしまえばトップを取れる可能性は大きく下がり、それでいてラスを回避できる可能性もそれほど上がりはしない。
何より、今は是が非でもトップがほしい。
「死中に活を求める」、いや、「死ねば助かるのに」か。
小林は、生牌のドラを切っての3軒リーチに踏み込んだ。
決断の先にあったのは、トップへ通じる唯一の航路か。
なんと4枚目のを一発ツモ。