鬼に金棒、多井隆晴に点棒!
憎たらしいほど隙がない
磐石の攻守とゲーム回し
文・渡邊浩史郎【金曜担当ライター】2021年4月23日
セミファイナルも2/3を消化しようかというところに至って、ここにきて少し黄色信号を灯し始めたチームがある。
まさかまさかのレギュラーシーズン王者、渋谷ABEMASである。
ここまでなんとトップが0。それでも二着三着多めの展開で何とか凌いできたが、先日、そして本日の一戦目と立て続けにラスを引き、いよいよじり貧。それでもまだレギュラーシーズンの貯金で何とかなりそうとはいえ、ここ最近のMリーグのデカトップデカラスの波に飲まれればそれもどうなるかわからない。
この緊急事態宣言を受けて出動したのは
絶対エース、多井隆晴。
4月23日 2回戦
東家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
なんとしてもチームにトップを持ち帰り、セミファイナル通過を盤石のものにしたいところに立ちはだかるのは重厚な三人。注目の一戦が幕を開けた。
【東1局1本場】
寿人のアガリを挟んで一本場。自然な形で染め手まで伸びてきた多井。まだまだリーチ手順は見切らず打。
そこに飛んできたのは滝沢からの先制リーチ。三色確定のドラ単騎、マンガンのヤミテンを入れていたところからの待ち変え、一枚切れの単騎とした。
このドラ3は多井にとっても急所の牌。仕掛けて打の真っ向勝負の形に。
が来て小考。滝沢のリーチ宣言牌であるドラのが多井の目から4枚見えたことによる相対的な残り筋と字牌の危険度上昇、押している園田の存在、巡目との兼ね合いもあって降りも検討しただろうか。しかしここはを打ち……
滝沢への放銃、5200は5500。
【東2局】
多井の手がいい。既に両面三つの二向聴。
前順から→と切りだして、残しているのは789の三色という打点が絡むと比較的安全度が高い字牌の。
三色含みの6ブロックに受けていた6巡目。
前順切っているを引いた多井。
ここはを残して打、三色を完全に見切った。
前順までのは安全牌とは言い難い生牌であったが、自分で一枚切ったことで安全度が飛躍的に上昇。となれば確定していない三色よりもピンフドラ1のリーチを安全に目指す。基本ながら大事な要素が詰まった一打だ。
親の滝沢の先制リーチを受けて追いつくも……
先にいたのは滝沢のアガリ牌。2000点とはいえ多井には辛い展開が続く。
【東3局】
少し点棒を取り返して迎えた多井の親番。
園田の第一打から積極的に仕掛ける。打点がなく、形が悪いことを理由に一枚目はスルーする人もいそうだが、だからこそ仕掛けて和了率をマックスに取っていく。
あの形が見事高め5800の聴牌に。これが山に4枚。
しかしそこに立ちはだかったのは寿人。ドラのを切って多井の仕掛けにリーチをぶつけていく。
この捲り合いを制したのは……
多井だ!赤引き、新ドラも含めて12000確定の聴牌にまでのし上がってからの和了。これで暫定トップ目に立つ。