「骨は拾ってやるから」
瀬戸熊の激励を胸に
本田朋広が
無人の荒野を歩きだす
文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年 10月 18日
第1試合
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
南家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:丸山奏子(赤坂ドリブンズ)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
変わりゆく季節が、街並み染めていく――
今、デスクの横には扇風機とヒーターが鎮座しているのだが、さすがにヒーターを使う頻度が多くなってきた。
変わりゆく… と言えば、Mリーガーたちの打ち筋が大きく変わっている事に気づいただろうか。
滝沢がバンバン愚形リーチを打つ。
高宮が多くの仕掛けを入れる。
日向が字牌を持たず目一杯構える。
いずれも例年からは考えられなかった姿である。
仮に短期的に損をしようともMリーグというステージになんとか対応するため、選手たちは試行錯誤しているのだ。
だが、変わらない美しさというものある。
チーム雷電だ。
黒沢が打点に振り切った選択を貫けば…
萩原はここからを切って四暗刻テンパイまでたどり着いた。
瀬戸熊に至っては、
牌が潰れるんじゃないかというくらいにツモに力が漲っており、まだ開幕直後とは思えないほどのオーラを出している。
俺たちは器用なタイプじゃねぇ。
周りが横方向に変化していくなら、俺たちは縦方向により深く変化してやる。
マイナス1200pt。
昨年度は、地獄の釜のそこまで落ちに落ちた。
もう見栄もプライドもねぇ。
あるのはチーム雷電としての誇りだけだ。
本田よ、骨は拾ってやる。自由に打ってこい!
チームメイトの激励を受け、本田は孤独のリングへと向かった。
それでも本田は踏み込んだ
東2局。
親の本田が丸山の仕掛けにチラリと目をやった。
開局にマンガンをツモった下家・丸山の捨て牌に「私、ドラ色(ピンズ)のホンイツをやっています!」と書いてある。
本田は少し考えたあとに…
を切った。
自身が親で価値のある手だからこそ、鳴かれることを承知で踏み込んだのだ。
「チー」
丸山がそのに飛びついたあとに、本田がツモってきたのは
一番ツモってきてほしくない牌ランキング堂々の一位、ドラのである。
を切ってもリャンメンリャンメンのイーシャンテンを維持できる。
一旦はを切っておいて、テンパイしたらを勝負するのが普通か。