蛮勇の【發】
〜庄田祐生はそれでも
打ち抜いた
【A卓】担当記者:千嶋辰治 2024年6月2日(日)
A卓戦
東家 木原翼(日本プロ麻雀連盟)
南家 庄田祐生(日本プロ麻雀連盟)
西家 牧野伸彦(最高位戦日本プロ麻雀協会)
北家 山崎淑弥(最高位戦日本プロ麻雀協会)
そして、東2局は牧野の三色が決まって5,200を庄田から。
美しい手役が次々と出現し、高打点飛び交う乱戦へと突入するかと思われたA卓。
しかしその後は、さながらベテランプロ同士のようなかわし合いが続いた。
山が動いたのは南3局。牧野の親番。
ドラは。
牧野は26,400点持ちの2番手。
追いかける3番手の木原、あるいはラス目の庄田との差は満貫一発で入れ替わる状況のため、トップ目の山崎を逆転して親番を渡したいところ。
この手をもらった牧野だったが、追いかける木原が第1ツモでドラをトイツに、
さらに庄田も良い手牌をもらって虎視眈々。
スピード的には明らかに分が悪い牧野だったが、
捨て牌が1段目を過ぎる頃にはご覧の手格好に。
そして、ターニングポイントはここ。
使うべきターツが揃ったところでやってきたション牌の。
場に高いソウズを手放して残したが、牧野に決定打をもたらす。
次巡、続け様に飛び込んできたをキャッチした牧野。
逡巡することなく、
ピンズの両面ターツを払い、トイツ手へ進路を定めた。
対する追撃勢の木原。
ドラを暗刻にしてタンヤオのイーシャンテン。
ここで切り出されたに牧野が声をかけた。
とのダブルバック、加えてトイトイ含みのイーシャンテン。
木原、庄田がほぼ同時にカンチャンターツを河に並べたが、これで両者のスピードを測ったのだろうか。
最安目で2,900となってしまうため仕掛けをためらう向きはあるだろうが、牧野はそれをいとわずに捌きに行った。
いや、それは違う。
と、牧野は背中で語る。
次巡、を手に置いて、牧野はを河へ放った。
捌きに行ったのではない。ここで決めるために仕掛けたのだ。
自団体の最高位戦でトップリーグの一席を預かる牧野。
この接近戦に際してもなお退路を断つことができたのは、百戦錬磨の打ち手と牌を交わしたことで培われた読みの精度が為せる業だろう。
そして、牌に試された男が一人。
庄田だ。